▼高等部・男主T


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いつの間にか、クリスマスパーティーの買出しは、棗への誕生日プレゼント選びへと変わっていた。

そんな中、1人ぽつんと取り残される棗。

ベンチに座り、暇をしていた。

そこへ急に現れた姿に棗は驚く。






「よぉ、棗」

すとん、と隣に腰掛けたのは詩。

なぜここにいると言わんばかりの棗の顔。

「驚かせちゃったか、わりーわりー」

そう言いながらも、悪びれている様子はなかった。

「ったくよー。暇してるみたいだったからせっかく様子見にきてやったのに」

詩はいつものように、相手の反応などおかまいなく話す。

「...るせ」

棗はというと、いつものように素っ気無い対応。






「あ、翼にアリスストーン貸してやったんだってな。あいつすげー喜んでたよ」

詩は思い出したように言う。

「....忘れた」

「まったそんなこと言ってー」

詩はケラケラと笑う。

「ま、そのアリスストーンで思いついたんだけど.....」

そう言いながら、詩はポケットから何かを探る。

そして、あったあったといいながら、それを棗の前に差し出した。

「これ....」

棗は詩の手のひらの上にあるそれを、まじまじと見た。

そこには、深い、濃厚な藍色の石があった。





―アリスストーン......




「持っとけ。

これくらいしか思いつかなくてわりーけど

先輩からの誕生日プレゼントだ」

柄にもなく少し照れた様子の詩をみて、ふと棗が細かに笑った気がした。

「らしくねー」

棗はそう、一言呟く。

「なっ....うっせーよ!先輩の好意なんだからこーゆうのは有難くもらっとくのがフツーだろー?」

詩は、自分でもらしくないと思ったのか、棗から目をそらし恥ずかしそうに言う。

「...詩、ありがとう」

小さく棗が言い、目をそらす詩の手からストーンを受け取った。

「俺の石なんて珍しいんだからなーっ大事にしろよ」

詩はそう言うと、立ち上がる。

「....ああ」

小さく棗が頷いた。








「俺は用があっからな。んじゃ」

詩は最後にいつも通りふわりと笑うと、相当照れくさいのか足早に行ってしまった。






棗は、人ごみに紛れ見えなくなるまで、詩の後ろ姿を見送った。

もらったアリスストーンは、ずっしりと重たく感じた____








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