▼高等部・男主T


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「今日は詩ちゃん来ないかと思ったー」

ルイが頬杖をつきながら上目遣いでこちらを見る。

「何でだよ、俺が学園にいながら俺抜きで会議なんてしねーだろ」

笑いながら答える。

「えーでも、任務だったんでしょ?さっき」

ルイは探るように見つめる。

「てか颯も言ってたけどそのこと何で知ってんだよ」

このことは学園でも一部しか知らないはず。

「まあ本部うろついてれば詩ちゃんの情報、嫌でも聞こえてくるもんね。詩ちゃん有名人だから」

嫌味とも嫉妬ともとれるルイの言い方に詩は笑う。

「嫌でもってなんだよ」

しかしながら、ルイの言っていることは間違っていない。

詩は学園生徒だけではなく、アリス研究本部の名をもつこの区画...いや、日本のアリスの中でも有名人。

彼の存在は希少であり、その力を欲する組織は公にも、非公式にもたくさんあるのが事実。

どんなに秘匿な存在の詩でも、本部にいればその情報の端くれくらいは耳にできる。





「それとその傷....まだ新しい」

口数の少ない八雲が、詩の手に巻かれた包帯を指差す。

「あ....」

隠していたが、颯とじゃれていてすっかりそのことを忘れていた。

「ハハっ....2人ともすげーな、かなわねーよ」

詩は苦笑い。

「何年こーやって話してんのよ」

ルイはウィンクをしてみせる。

「うっ...それやめろよまじ...」

あからさまな詩の反応に、ルイは心外だと言わんばかり。

「ちょっとそれどうゆうことー!?

ほんと詩ちゃんて失礼!」

そう言ったルイの後ろから負の気が出ているのは気のせいだろうか......

自分の身の安全のためにもルイをなだめなければならないので、八雲に助けを求めるが、彼はちっともこちらと目を合わせてくれない。

まあ、それも八雲らしさなんだけど...






危険能力系という物騒な呼び名とは名ばかりで、実際の雰囲気は明るい。

これも、詩がいるおかげだ。
















―会議後.....






「おっと、棗。どこ行くんだー?」

ペルソナが去った会議室から、棗も出て行こうとしたので、詩が呼び止める。

「会議後も俺ら待機って言われてんだろー」

一応、代表として声をかける。

「トイレ....」

棗はそう一言だけ言って、扉に手をかけた。

「逃げたらしょーちしねーぞガキっ」

颯のそんなセリフを後ろに聞き、棗は会議室から出て行った。





これでも蜜柑を心配している様子の棗なら戻ってくるようなことはないな、と思いながら詩は棗のあとを追わなかった。

棗の決めたことだ。

後悔ないようにやればいい。

多少無茶でもそうしてきた自分と重なると、詩にとめることはできなかった。





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