▼高等部・男主T


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詩は、病室から出てきた蜜柑の頭に、何も言わず、手をおく。








「あーいたいたチビちゃん」

「あ、佐倉さーん」

この場にそぐわないテンションと声色。

声のするほうを向くと、やっぱりか.....

「殿先輩.....のだっち....っ」

蜜柑は少々驚いている様子で呟く。

「よー詩、お前もここにいたのか」

「まーな」

そんな言葉を交わし、いよいよ本題へ。





「君達2人の勝手な行動に対する処罰は今の所保留。

決定するまでは寮でしばらく謹慎とのことです」

のだっちが蜜柑へと言う。

「....まったく、チビのくせにえらいもんにまきこまれやがって......大変だったな」

殿は蜜柑を抱き上げ、珍しく先輩っぽい口調で言った。

蜜柑はそれにまた、泣きそうになり俯くのだった。






「―あ、そうでした」

と、急に思い出した様子ののだっち。

「日向君、詩君。

本部にて危険能力系参加の緊急会議があるとのことで、君達に直ちに本部に向かうようにことづかりました」

今後の事態に備えて危険能力系、Z征伐部隊出動要請の会議ってとこか。

こんな時でも冷静な自分、修羅場に慣れてしまった自分が嫌になる。

一方のみんなは不安げな顔。

「何それ.....何で棗が.....」

流架がまっさきに反応する。

しかし棗は詩と同様、どうってことないように、その場を離れようとする。

「棗」

流架の心配そうな声。

それに立ち止まり、のだっちのほうを向く。

「.....行かなけりゃ、どうせヤツがここまで連れに来るって算段だろ」

わかりきったように棗は言う。

「....では殿内君、僕は彼らを本部まで送り届けますので、佐倉さんの方宜しくお願いします」

のだっちは殿に向き直り、言うのだった。






「蜜柑のこと、ヨロシクな」

詩は殿の前を通り過ぎるときに、意味ありげに言った。

「わーってるって」

と、にやりと笑う殿。

2人はお互いに、意味ありげな目配せをし、軽くハイタッチを交わした。






そして、棗と詩はのだっちに連れられ本部へと向かった。








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