▼高等部・男主T


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「そっか....蜜柑て棗のパートナー....」

ふいに考え込むように、殿が言った。

「てことは、お手つきかあ.....」

殿は少々残念そうに言う。

「あいつ手ぇ早そうだし、やられちゃってるよなー」

そう言う殿に、殴りかかろうとする翼。

美咲は蜜柑が汚れないようにと、避難させるのだった。






「―そういや棗ってば.....」

今度は詩が口を開く。

「あいつ、体だいじょうぶなの?」

「え....体?」

蜜柑が気の抜けた返事をする。

「最近病院通いしてるってきいたからさー.....」

その詩の言葉に、蜜柑はどこか引っかかる。

「え.....ウチ何も知らん....」

―棗が病院通い......?

もしかして、また過労.....?





―命を縮めるアリス......





なぜか、要先輩の顔が浮かんできた。





―まさか、ね......棗に限ってな―…







「そーいや殿先輩、詩先輩、アリス紛失事件≠フ話何か知ってる?」

蜜柑は話題を変えようと話をふる。

この話題には皆、興味があるようだ。

「ああそれ....俺もそのせいで急きょ仕事キャンセルさせられたんだよなー」

「同じく俺も」

殿の言葉に、詩も同調する。

「....中等部に紛失者が出たって噂は本当!?」

この噂は、詩も耳にしていた。

けれど、翼たちがこんなに元気であれば、聞く必要などないと思っていた。

しかし、その噂は本当だった。

皆が驚いている様子から、ただの噂かと思ったが、のだっちが詩と殿だけに見えるように、口止めを示すジェスチャーをしている_____

―本当なのか.....

「.....んなわけねーじゃん」

殿は自分の言葉を取り繕う。

その途端、皆は安堵の表情に戻るのだった。






「―じゃあこの事件、学園内は安全ってことか?」

翼がたずねる。

「んーまあ、俺も殿もこの件に関してはそこまで事情知ってるワケじゃねーからなー」

知ってる事は少々あるが、変な事を口走らないために言っておいた。

その後、のだっちのウイルスの線は薄いという話を聞き流しながら、詩自身もこのアリス紛失事件≠ノついて考えていた。






「まあ、事件が落ち着くまではしばらく学園にいるよ」

詩はそう言って、翼の頭をわしゃわしゃと乱してやるのだった。






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