△初等部男女主 (続)


□家族会議(6p)
1ページ/6ページ



「棗、蜜柑、翼...

先生方も...

わるいけど、席を外してくれないか...」




静かに、琥珀がいう。




「今回の件は、八神家の私的な内情が発端。

全責任はこの、八神 琥珀が負うということで収めてくれないか。

これ以降、関わった生徒への追及はしないものとし、

その代わりこのような八神家にあるまじき事態が二度と起きないよう、対策をとる。

そしてこれからも引き続き、学園への協力は惜しまないと誓う。

ここにいる全員が、証人だ___」




「琥珀...」

蜜柑はつぶやく。

その八神家としての覚悟と、今までの経験からくるこの場を収める言葉の説得力が、皆に伝わる。




「いくぞ、蓮...」

最初に声をかけたのは、棗だった。

蓮ははっとして、父の元へ行く。

たぶん、父は怒ってるのだろうなと思った。

まさかこんなところで、父の目の前で校則を破って北の森へ行ったことがバレるなんて...




その時、カスミが一歩前に出た。

「蓮はわるくない!

俺がむりやり連れてきた!

蓮は、何もわるくない!!」

カスミ...

この場で言葉を発せられるほど、カスミに勇気があったことを驚いた。

だってそんなこと、父琥珀の前で言ったらまたさらに怒られるに決まっているのに...

蓮は何か言おうとしたが、棗に手を引っ張られたために、部屋を出て行った。

それに続き、蜜柑も杏子と胡桃を促し、リンへ「なんかあったら力になるからな」と小声で言ってその場をあとにする。

翼も、青空と奈々を連れて部屋を出た。

青空は最後まで、アラレに心配そうな目線を送るのだった。

教師たちも、八神家の琥珀にこうまで言われては、言う通りにするしかなかった。



部屋を出た杏子は、久しぶりに両親に会えたのに、こんなに気分が晴れない日はないと思った。

「ねぇ、ユキとアラレ...

また離れ離れになったりしないよね?」

隣を歩く母、蜜柑を見上げる。

2人が双子だと知って、杏子は親近感がわいていた。

妹とは、生まれてこの方ずっと一緒だった。

嬉しさも哀しさも、全部2人で分け合ってきた。

双子の妹と離れるなんて、杏子には想像ができなかった。




蜜柑は琥珀とリンが結婚する前から、2人を取り巻く八神家の事情は知っていたので

はっきりと答えることはできなかった。

離れ離れで暮らすことだって、2人のことだからたくさん悩み話し合って決めたことに違いなかったから...

返答に困る蜜柑の代わりに、棗がいう。

「人の家庭の事情は、その当事者にしかわからない。

ただ、今までは親のエゴで決めたことがらも、

子どもも入れてもう一回話し合ういい機会だ。

これからあいつらが決めることに、俺たちはとやかく言える立場じゃない」




蜜柑も頷く。




「それと...

杏子、胡桃、蓮...

あまり母親に心配をかけるな」




それ以降、棗はこの件に関して、咎めることはなかった。

父の背中は、大きかった____





.
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ