△初等部男女主 (続)


□再会(5p)
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学園本部、生徒指導室。

真っ青な顔の青空と、うなだれる杏子。

これから先のことを考えると、落ち込まずにはいられなかった。

それに、狼の姿で飛び出して行ったっきりのアラレとユキのことも心配でならなかった。




バンっと、扉があき、入ってきた人物。

その目を、ちゃんと見つめることができなかった。




「青空!

おまえはどうしていつもいつも問題ばかり...!」

「杏子...っ

なにがあったん?」

そう言ってそばに駆け寄るのは、2人の親たちだった。

青空の父親、安藤 翼。

杏子の母、蜜柑。

その後ろには、父の日向 棗もいた。

杏子は父の様子をちらちらと見て、気にしているようだった。

大好きな父に、失望されたくなかった。



「大方の事情はきいた」と棗。

ちらりと担任、飛田をみる。

蜜柑も、それに気づく。

「僕は、その時本部に用事があっていなかったんです。

僕のいない間にまさか、こんなことが起きるなんて...」

「いいんちょーは...あ、えと、飛田先生はなんもわるくないんやから」

慌てて、蜜柑は言う。

それでも、担任として責任を負う立場として、今回の件、

未だに体験生含む生徒2名が行方不明、そして八神家絡みの件となると、

気が気でなかった。



その時、遅れて部屋に入ってくる影があった。



「ユキ、ユキは...っ!!」



急いできたらしいその姿。

部屋を見渡して、見慣れた顔が多いことに気づく。



「リン...っ

ひさしぶり...」



こんな時でも蜜柑は、リンと再会できたうれしさを覚えていた。

もう、何年ぶりだろうか。

最後に会ったのは、お互い、同じくらいの時期に双子の妊娠がわかったとき。

運命だねと、喜び合い、生まれてくる子の未来を一緒に想像した、あの時以来...

その時よりは、リンはだいぶ痩せたように見えた。

ちゃんと食べているのだろうかと、心配になる。



「蜜柑...っ」



2人は、抱擁を交わし、またすぐ離れた。




「ユキの...お母さん?」

杏子が首をかしげた。

ユキに、雰囲気がそっくりできれいな人だった。

はっとして見つめるリン。



「あなたが蜜柑の娘の...」



「杏子や。

双子の姉のほうで」



リンは頷き、「会えてうれしいわ」と言った。

ユキが自慢の母だと言っていたのを思い出した。

途端に、目に涙がにじむ。



「ユキのお母さん...ごめんなさっ....

私、ユキに...ユキに...」




リンは首を振る。

そしてそっと、杏子を抱きしめた。

「あなたは悪くない...

巻き込んでしまって、ごめんなさい...」



その姿をみていた青空が立ち上がった。



「なあ、アラレとユキって...」



おい、青空...と翼が制する。

しかしリンは、もういいの...とつぶやく。



「ユキとアラレは、双子の兄妹よ___」





え...と、言葉を失う杏子。

予想していた青空も、改めてきくと、その事実が、重くのしかかる。



八神家...この家族は一体...





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