▽初等部・男女主T
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「......リン、走ってっ.....もう追ってくる.....」
レオのアリスで未だに体に力が入らない、リン。
それを支えながら足を速める蜜柑。
その2人に、息を切らせながらもついていく棗。
3人は、必死に逃げていた。
3人は曲がり角を曲がった。
しかし、その曲がり角に続くのは道ではなく、下りの階段だった。
誰も予期しているはずもなく、3人一緒に階段から転げ落ちた。
棗とリンは、転げ落ちたことによって、もうすでに体力もろとも限界が近かった______
「.....おい、お前逃げろ」
棗は蜜柑に向かって言う。
「へ?」
「1人なら......今のあいつらなら何とか逃げ切れる.....行け」
「私も、そうしてほしい...蜜柑...だけでも」
息を切らしながらリンも言う。
「は?あんたら何ゆうて......」
「いいから行けブス、何度も言わせんな」
ブス≠ニいう言葉に過剰に反応する蜜柑。
「いやじゃ!」
「行けっつってんだろボケッ!」
「行かへんゆうてるやろドアホッ!」
こうなってしまっては、両者一歩も引かない。
「蜜柑お願い......行って.....」
壁にもたれながら、リンもさらに言った。
そんなリンと棗に、蜜柑は真剣な眼差しを向ける。
「ここまできたの誰のためや思てんねん。
あんたら置いてったら本末転倒もええとこや。
ルカぴょんも蛍も先生もパーマだってみんな、あんたらが無事に帰ってこれるように頑張ってんのに____
それを無視してウチや棗やリンがここであきらめるなんてゆるされるかっ!
2人の抱える問題がどんだけのもんかなんてウチには分からんけど、でも........」
そう、蜜柑が言いかけたそのときだった。
「おい、こっちの方で声が聞こえなかったか?.....そこの階段の下みとけ」
3人に緊張が走る。
しかし蜜柑は、そこら辺にあった木材を手に取る。
「......やれることまでやってみる」
―先のこと諦めるなんて、
「ウチは学園に戻ってまだまだやりたい事たくさんあるもん」
―ウチらにはまだ早すぎる。
「......文化祭かて、まだ何もやってない」
―楽しい未来はきっと、
「何が何でもあんな奴らに捕まるわけにはいかへんねん」
―諦めずに歩いた、
「.....棗やリンかてそうやろ?」
―その先にあるもんやから......
「一緒に帰ろう、学園に」
「みんな待ってる」
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