▽初等部・男女主T
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黒猫を、棗をかばったわけではない。
“この任務は一人で十分”
これは紛れもない事実だったから。
任務への移動中の車の中。
窓から見える空はすでに暗くなってきている。
学園をでて、数時間は経った。
けっこう遠い所のよう。
しばらくすると、港が見え、近くの工場跡らしき建物のそばに、車が停止した。
「リン、任務の内容は説明したとおり」
リンは頷く。
「不測の事態はすぐに連絡を」
ペルソナの声を背にきいて、車を降りた。
その途端、リンの目つきは変わる。
同時に、両腕全体に蛇の刺青が浮かびあがった。
これから使うアリスに集中するため、余計なアリスは解く。
そして、ネックレスにぶらさがる2本の刀を握りしめる。
一瞬にしてそれは、通常の刀のサイズと化す。
イメージを具現化するアリス。
それをすべて解いたのだ。
いつもは縮めていたそれ。
闘うときに、本来の姿を取り戻す。
久しぶりの刀の感触。
あの日、組織が殲滅された時以来。
思い出したくなくても思い出してしまうあの日のこと。
脳裏に浮かぶ、あの人と、炎と、血。
すべてが紅かった。
それをふり払うかのように、リンは走り出した。
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