▽初等部・男女主X


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「料理研究部ーー?!

なんだそれ!!!」




次の日、琥珀は学校でそう声を荒げていた。

蜜柑が琥珀を不憫に思うあまり、女子たちから情報を集めていたのだった。




琥珀があんぐりと口をあけるのは、

リンの彼氏と噂される栗原が、“料理研究部”という部活に所属していることがわかったから。

料理研究部とは、その名のとおり、料理をつくることを活動の主とする部活。

部員は、週に2,3回程度家庭科室に集まり、おしゃべりしながら料理をつくって食べ、感想を言いあうのだ。

剣道部の試合の、殺気だった空気とはまさに真逆、

ほのぼの、和気あいあい、楽しく、美味しく、がモットーだった。

活動内容もゆるく、部活動というより、愛好会というほうが適切に思えた。

そんな、女子人気の高い女子ばかりの部活の部長をつとめるのが、栗原楓だった。

彼の両親は町で小料理屋を営み、幼いころから店を手伝っていたこともあり、

大人顔負けの料理のうまさだと、蜜柑は情報を仕入れていた。

基本的に和食が得意だが、洋食やスイーツなども一通りでき、

女子の多い部活で群を抜いた腕前だった。

そんな栗原は、体育会系男子には無名だが、ひそかに女子ファンがいるらしかった。





すべての情報が、琥珀の癇に障るのは言うまでもない。

料理研究部なんて、眼中にすらなかった。




なんでリンがあんなやつと...っ




琥珀はすべてが理解しがたく、悶々とする感情をどこにぶつければいいのかわからずにいた。

棗と蜜柑も、さすがに琥珀が心配だった。

ここまで来るのに、許可をもらうまで多くの苦労をしてきたのに...

せっかく会いに来たリンには、別の彼氏がいた。

想像しなかったわけではないが、リンに限ってそんなことはないと、みんなどこか思っていたことだった。

そんな中、アリス学園でも異才を放つ琥珀が普通の高校でも目立たないわけはなく。

テストはいつも満点、運動神経も抜群、容姿端麗、なんでもそつなくこなし、誰とでも分け隔てなく接する琥珀人気はぐんぐん上がっていた。

女子たちも琥珀に目を奪われ、男子もパーフェクトなさまに憧れた。

しかし、肝心なリンは、いつまでたっても振り向くどころか、興味すら示さなかった。




それに対して栗原は、勉強の成績はいたって普通。

運動に関してはむしろ苦手らしく、からかいの的になるほど。

「おい栗原ーっ

また転んでんのかー」

そう、クラスの男子に笑われていた。

その時ちょうど、琥珀は体育でスーパープレーをきめていた。

今度こそ勝った!

とリンの姿を探すが、リンは転んだ栗原にかけより、大丈夫かと声をかけているところだった。

リンとは隣の席にも関わらず、話しかけられたこともない琥珀は、心底悔しがった。




なんで僕は、あいつに勝てないのだろう...




それがまったく、わからなかった。








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