▽初等部・男女主W


□90
2ページ/5ページ



レオが、初校長の暗殺を失敗した___






声フェロモンを利用した一般生徒の扇動は、初校長にとって想定内の裏切りだった。

会場内は停電し、形勢は逆転。

生徒が多数押し込められた会場は、その暗闇の中不安感も増し、一気に混乱に陥った。




「...君は、私のイメージを回復させる、優秀な手駒として期待していたが....

予定は大幅に変更だ...

私は...

“君という犯罪者から生徒たちの身を守り、学園の危機を未然に防ぎ

善に変わろうとする組織に未だはびこる悪を根絶させた”

その筋書きを採用するしかなさそうだ...」




暗闇の中、そんな初校長の声がきこえた。




「レオ様!」




レオの部下が叫んだと同時に、ステージ上では派手な音がして、誰かが倒れた様子だった。

リンは人をかきわけ、なんとか前の列に移動する。

棗も同じようにしていた。




何が、何が起きている...?





失敗した....?




レオは暗殺に、失敗した....??





状況を確認するため、もっと前へと、進もうとした時だった。




「愚かな」




ぞっとするような低い声。

よく聞き馴染みのある声なはずなのに、それはまるで別人のようだった。

生徒をかけわけた先にみえた人...




初校長の首にするどい爪をたて、その身を拘束した、鳴海の姿があった。

爪は妙な色と長さをしている....

毒爪の類だろうか...

鳴海のその瞳はとても暗く、でも、覚悟のすわった瞳だった。

かつては、初校長のもとで手を汚し任務をしていたその腕は、健在のようだった。




「フェロモンガードごときで、お前が幼少のころから長年目をつけさんざん利用し続けてきたこの力を、

攻略できると思ったか...

見誤ったな、初校長...」





「鳴海...貴様...っ」

初校長の顔は、憎悪に歪む。

「マークしているはずのお前が私の背後に易々と...

お前のこの行動、

裏で糸をひいているのは志貴か...?

それとも八神か...?!

答えろ....ッ」





「黙れ外道」




その声はいつになく低く、地獄の底に響くようだった。




「お前を道連れに、地獄へ落ちるのは

私一人で十分だ___」






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ