▽初等部・男女主W


□89
6ページ/7ページ



ザシュッ


ガルッ


グルルルッ



バキッ







どれくらい経った?

僕は今、どれくらい戦ってるのだろう...

自分が獣なのか、人間なのか、わからなくなりそうだった。

もう、いっそのこと...

獣でいいんじゃないか...

このまま本能のままに、血の匂いをかぎ分けて戦った方が、ラクなんじゃないか...?




グワァァァア



けたたましいうなり声をあげる琥珀。




「おい、そろそろ琥珀様、やばいんじゃねえか?」

「ずっと変態し続けて...

戦ってない時も、完全に人間に戻ってるわけじゃない。

目なんかずっと、とっくに人間のを忘れてる...」

「兵は補充されるけど、琥珀様だけはずっと前線にいる...

あんなに体力が続くなんて...」

「俺たちも、琥珀様が立ち上がり続ける限り、戦うのをやめちゃいけねえ...」





八神家の兵たちは、狼たちは、何度でも立ち上がる...

その銀色の毛並みを真っ赤に染めてもなお、立ち上がり、目の前の獲物へ向かう。

攻撃を受けても受けても、何度も何度も立ち上がり、息絶えるその瞬間まで瞳の鋭さはきえない。

八神に、敗北は許されない。

その命がつきるまで、戦い続ける...

それが、八神家の狩りだ...





血を吐いて、また自分を奮い立たせる。

翡翠からの情報が正しければ、

毛利レオのライブが始まるころだろうか...

早く行かなければ...

早くしないと、間に合わない。

僕が行かなければ...っ





海辺の倉庫が連なる場所。

そこで激しい戦いを強いられていた。

いつもならうまく行く連携も、皆の疲労が蓄積しているせいか、

いつも通りいかずにイライラしていた。

そんな時だった。






ザバァ...





ぎょっとするほど大きな波。

何の前触れもなくおきた津波のような、みたこともない高さの波が倉庫街をさらった。





え...



まじかよ....



これは....





ー5番隊!

 いったん下がれ!!




超音波で叫び、自分の身も波にさらわれないようにするので必死だった。

しかしその大きな波は生き物のようにうねり、動き、仲間である、八神家をさらうことはなかった。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ