▽初等部・男女主W


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アハハハハ



無邪気な子どものような笑い声。



「こんなにライブがワクワクするの初めてだ」

子どものような執着心。

そして欲求に従順で、単純な脳。

「あと少ししたら、あの妖怪はいなくなって、

この学園は一変する...

崩壊という道をまっしぐらに...

俺たちが、学園の運命を握るんだ...」

純粋で、醜い、悪。

レオは救えないやつだと、皆思った。






「そんな汚い仕事は、これ幸いとばかりにZにやらせておけ」

一部始終をきいた殿が、集まった棗とリンを諭す。

「お前らは強いよ...」

翼もいう。

「強いから確かに、いろんなものを背負っちまう気持ちはわかる。

でも、周りも同じくらい、棗やリンを大切に思ってること、

もうちょっと目向けろよ」

蜜柑や梓、初等部のみんな...

過去でみた家族の顔が思い浮かんだ。

過ごした時間は短いはずなのに...

馨や、文音の顔が鮮明にやきついて...




「ここにいない琥珀もきっと、同じ気持ちだ」

あられ丸がばさっと舞い、リンの肩におりた。

棗と、流架の目もあう。

「ま、お前らはさ、もうちょっと...

みんなで力を合わせるってこと、覚えてかなきゃな」

殿の言葉に、気が立っていた自分の気持ちに気づかされる。

じっと見つめる、あられ丸の瞳。




「俺らも、

初校長がいなくなればすべて変わるってこと、

それしかないってこと、

残念ながらよく分かってる。

俺らがこれからやることは、結果、初校長を倒すことになっても、

大事な人たちと、学園を守ること...

罪をかぶることを恐れるより、自由を勝ち取るための戦いに

これだけの向こう見ずが集まったこと、

それを力強く思おうぜ」

殿の言葉に、皆しっかりと頷いた。

力を合わせれば、どんな分厚い壁も壊せると信じて...




「くれぐれも単独行動はするな...」



「琥珀っていう戦力が学園にない今、正直どこまでやれるかわかんねえけど...

決まったからにはもう、やるしかねえ」



「さっきも言った通り、暗殺の計画実行はレオに任せるんだ。

俺らが専念するのは、計画実行後の学園の混乱を抑え、

Zの思惑を阻止すること」




「....奴らが計画をやり損ねた時は?」




「そん時は...

全力で、命かけて...

俺らのうちの誰かがやり遂げるまでだ____」





皆、心のうちは決まっている。

覚悟を決めた顔。




今、学園で、

毛利レオのニューイヤーライブの幕が上がる。




多くの歓声とともに____





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