▽初等部・男女主W


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ぼふっと、リンを雪の上に押し倒す琥珀。

息遣いが荒く、体毛が増えたようにみえた。

え...?

リンは少し戸惑う。

明らかに、いつもの琥珀じゃなかった。

琥珀は戸惑うリンにおかまいなしで、もっと強引にキスをする。




ちょっと、ちょっと待って...っ




リンが押し返そうとするも、琥珀の力には敵うはずもない。

と、その時だった。




バシュッ



何か白い影が横切って、琥珀の頭を勢いよく殴る。




「ったーぁ!

何すんだよあられ丸っ」

琥珀はぶつぶつ言うも、あられ丸はバサバサと主の琥珀に攻撃する。

「あーわかったってわかった!

わかったからもう!!」




ようやくあられ丸の攻撃がやみ、ぼさぼさになった琥珀の頭に笑いが漏れる。

「あ、笑ったな」

と口をとがらせる琥珀。

「でもごめん...」

しゅんとして、琥珀はリンにあやまる。

「なんか、こういう本能っていうの?

欲求っていうの?

抑えられなくて...

ずっとリンに会ってなかったから、嬉しくなっちゃって...」

顔を赤くしながら目をそらす琥珀が、餌をお預けにされた仔犬のようで、かわいかった。

くすっと笑って、その頭をついぽんぽんとなでてしまう。

「な、なんだよ...」

わしゃわしゃっと、首をふる琥珀。

本当に、犬みたいだなと、愛しく思った。

「僕、怖かった?」

上目遣いにどきっとして、反則だよ、と思いながら、うん、と頷いた。

獣のような琥珀が、琥珀じゃないみたいで、怖かったのは事実だった。

「...だよね...ごめん、次はなるべく、ちゃんと我慢するから」

そう言ったあと、でも...と琥珀はリンをみる。

「でも、リンもわるい...っ

こんなにかわいいから...っ」

そう言ってまた、リンに抱きつきキスをした。





外の寒さが、火照る身体を冷ますのにはちょうどよかった。

ずっとずっと一緒にいたい。

来年も再来年も、ずっとずっと、君のそばにいたい。

君じゃなきゃ、嫌だ。

君じゃなきゃ、満たされない。

君じゃなきゃ、こんなにもドキドキしない....




メリー・クリスマス




この特別な日を、来年もまた、君と過ごすと信じて疑わない____




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