▼高等部・男主U


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―安積柚香が初校長を襲って重症のケガを負わせ、学園を脱走した。

そんな噂は、先生の死の知らせのときと同じくらい早く、学園中に広がった。

それを聞いた時は、驚きと戸惑いで信じられなかった。

でもすぐに、察しがついた。

柚香も自分の見た事実を知ったんじゃないかと。

結局、みたことは誰にも言わないことにして、心の奥底にしまいこんだ。






強くなりたい。

先生が自分を救ってくれたように、自分もここでみんなを救えるようになりたい。

今は無理だとしても、絶対強くなる。

誰かを守れるようになるくらい、強く。

先生のように、強く、温かく、みんなを包み込めるように。

先生がくれた居場所と家族。

それを守るためなら、どんなことだってする。

先生のように、すべてを投げ打ってでも。

先生の意志を受け継ぎたい。

先生が生きた証を、決して無駄にはしたくない。

先生はずっと生き続ける。

俺の中で、ずっと。

俺が勇気を出すとき、きっと先生は背中を押してくれるだろう。

それが俺の大きな力になると思うから。

先生ができなかったことを、きっと俺は果たす。

それは先生の無念の、最後をみた自分だからできること。

あの強い目を忘れない。

そして初校長を、絶対に許さない。

思い通りにはさせない、絶対に.....

先生が教えてくれたこと、先生にもらったもの、全部全部忘れない。

全部全部大切にしよう。

だから、天国で見守っててください。

今に、先生に追いつけるくらいに強くなってみせるから。

先生のように、誰かを守ってみせるから。








大きな大きな決心をして、

先生の思いを胸に、踏み出そう。

俺はこの学園で生きていく。

たくさんの仲間であり、家族である存在と共に。

決して、たくさんの光を濁らせない。

向き合おう。

現実と、自分と、アリスに。

もう逃げたりしない。

目を背けたりしない。

弱い自分と、さよならだ.....

青空に向かって手を伸ばす。

太陽はつかめそうでつかめない、遠いもの。

でもそれは、いつも僕らを照らし、見守ってくれてる。

柚香先輩、どうか元気で.......

先輩のような生徒をもう二度と、この学園から出しません。

だからどうか、無事でいてください。

太陽はいつも、僕らみんなのそばにあり続けるから____






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