▼高等部・男主U


□35
3ページ/6ページ



幼い詩は、自分の身に起きたことが理解できず、初めて会う祖父に馴染めないでいた。

祖父は、とある神社の神主をしていた。

長い白髪を後ろで結い、白いひげが特徴的な仙人のような風貌。

歳の割に元気な人だった。

「ママにあいたい....

いつになったら、ママはむかえにくるの?」

詩の毎日の口癖だった。

それに祖父は、

「しばらくはあえんのう」

と答え、掃除の続きをするのだった。

詩は1人神社で過ごし、式神を出して遊んでいた。





「じーじ、これ、なに?」

詩はある日、祖父に自分が自由自在に出せる式神を恐る恐る見せる。

これを見せると、母親も父親も気味悪がった。

一体これは何なのか.....

そんなに怖いものには、詩は見えなかった。

祖父も怖がるだろうか....?

不安がよぎった。

でも祖父はそれを見て、微笑んだ。

「それは式神≠ニいうんじゃ。

怖いものではない。

.....わしも、それを出せる」

そう言うと、祖父は詩と同じ白い人型の紙を出した。

祖父も、式神のアリスだった。

「これはさっきも言ったとおり、恐れるものではない。

でも普通の人にとっては、気味悪がられてしまうようじゃ。

わしの娘は特にそれを嫌っての。

しばらく疎遠になっとった。

でも、少し前に電話が来てのう。

お前を預かって欲しいと.......

自分の子どもまでそんな風に言うなんて悲しかったが、正直......嬉しかった。

こうやって孫と会えて。

それでも、子どもは親と暮らすのが一番じゃ。

わしが娘を説得する。

それまでしばらく、ここにいなさい。

そして、1つだけ覚えておきなさい。

その力は、決して隠す必要など無いんじゃよ」

そう言って、祖父は詩の手を握った。

詩は、まだよくわからないこともあったが、うんと頷いた。

それから、祖父との距離は縮まっていった。








.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ