▽初等部・男女主U


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魔の無重力空間≠ニ書かれたところに、蜜柑と流架は足を踏み入れていた。





「ぎゃーーーーっ」

蜜柑の悲鳴が聞こえると共に、人がまわりに集まってくる。

琥珀はすぐさま、翡翠の変態をといてそちらへ向かう。

「おい、どっかのバカが無重力スポットに入ったらしーぞ」

「だれだろーあの2人....」





「騒ぐなチビっ暴れれば暴れるほど洗濯機みたいに回されるぞっ」

しかし蜜柑にその殿内の言葉は届かず、振り回されるばかり。

一方の流架は、冷や汗をかきながらも殿内の言う通りにとまっていた。

「1分以内に片付けろ、翼」

殿内はそう言って翼に手をかざし、アリスを施した。

翼はスポットの前にひざまずき、影を、引っ張る。

影と共に、蜜柑と流架は引っ張られ落ちてきた。

それを殿内と琥珀が受け止め、ケガは免れた。

「琥珀、その姿っ」

蜜柑は自分を受け止めた琥珀をみて驚く。

身長は高等部生だったが、その顔は翡翠ではなく大人っぽい琥珀だった。

「こんなに人が集まってきたんじゃ兄さんの顔も借りてらんないよ」

しかしほっとしたのも束の間、なんと蜜柑と流架の姿が初等部生に戻っていた。

焦ってガリバー飴をすべてなめきってしまったのだ。

「おい、こいつら初等部のガキじゃないのか?何でこいつらがこんな所に.....」

そう誰かが呟いた途端、殿内を先頭に皆で逃げる最後の策。






「お前か殿内、こいつらを手引きしたのは」

しかし、1人の高等部生が前に立ちはだかる。

「げっ...名前忘れたけど幹部候補生っ」

殿内はマズイ≠ニいう顔。

「お前ら向こうに逃げろ」

殿内に言われるがままに、蜜柑たちは反対方向へ向きを変える。

しかし、

「させるか」

と、幹部候補生。

一瞬その場の空気がひんやりしたかと思うと、足元は氷

身動きがとれなくなっていた。

「あ...足が...っ」

「ギャー地面が氷になった―」

蜜柑の悲鳴に似た声。

「げっお前ら、つかまったの?!」

殿内の焦る声。

「リン、結界は!」

咄嗟に言うが、リンもできたらそうしていたに決まっている。

「この位置だと琥珀のアリスもとけちゃう!

私たちと違って琥珀はバレたら...っ」





ポ...





リンの言葉を遮るように、どこからともなく炎が現れる。





じゅわー




氷は見事溶けた。

言うまでもなく、棗のおかげ。

幹部候補生は唖然とする。




「ふたたび逃げろっ」

殿内の合図でまた皆走り出した_____





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