△初等部男女主 (続)
□アリス学園(5p)
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「こんにちは。
五条 雪ちゃん、乃木 雫くん。
ようこそアリス学園へ____」
制服に着替え、本部の通された広い部屋で待っていると、
色素の薄い短髪に、丸メガネの男の人が入ってきた。
「僕は、これから2人が体験入学する、
アリス学園 初等部B組の担任、飛田です。
短い間だけど、どうぞよろしくね。
何か困ったことがあったら遠慮せず、なんでも言ってね」
先生ときいて、やさしそうな見た目に、ユキはほっとしていた。
「2人とも、制服似合ってるね」
にこにこと、そう褒められれば照れてしまう。
しかし隣の...今名前を知ったが、乃木雫という子は相変わらず無表情だった。
同じ体験生であることは察していたが、何を考えているのかわからず、待機中もなんだか話しかけづらかった。
「懐かしいな...」
飛田先生がふと、そう言ったのが気になった。
でも、すぐになんでもないよと笑う。
「行こうか。
さっそくクラスメイトに紹介するよ」
雪と雫は、飛田のあとに続いた____
本部に入った時から思っていたが、アリス学園というのは、ひとつひとつの部屋がとても豪華なつくりだった。
さすがはアリスの学校...
一般の公立の学校とはやはりわけが違う。
子どもながらにも、その広さとつくりから、お金がかかっていることはわかる。
国の宝、アリスの英才教育のためと思うと、納得できないこともなかった。
そんなことを考え、物珍しさにきょろきょろしながら歩いていると、
あっという間に教室についていた。
ユキは緊張と、ワクワクとした気持ちが入り混じっていた。
アリス...
どんな力をもった人たちなんだろう...
弟を、見つけることはできるのだろうか...
「さあ、入って___」
担任の飛田に促され入った教室。
そこは...ユキの想像を超える場所だった。
「みんな、席について」
と飛田が言うまで、何度まばたきを繰り返しただろうか...
物や人が、重力を無視して浮かび...
追いかけっこをする生徒が急に瞬間移動で別の場所に現れ...
見たことのない奇妙なしゃべる生物が机の上で動き...
サーカス団かと思うほど、人智を越えた能力がそこら中にあふれていた。
ユキがこんなに度肝を抜かれているというのに、相変わらず隣の雫は無表情だった。
それも、先ほどの出来事を思い出すと頷ける。
彼も、この学園に姉弟がいるんだっけ...
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