▼高等部・男主T


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しばらく1人で、何を考えるわけでもなくボーッとしていた詩。

その背後に、忍び寄る影.....





「おい!詩ぁ!」

ポンっと急に肩を叩かれ、驚く詩。

「うわっ」

詩はその人の顔を確認し、ホッと溜息をつく。

「なんだ殿かよー」

「なんだってなんだよ。失礼だぞ」

殿は2人分の飲み物をテーブルに置き、詩の隣のイスに座った。

「何してんだよこんなとこでー。

気まぐれなお前のことだからどっかいっちまったかなーと思えば同じ部屋にいたなんて。

ったく相変わらず何考えてんのかわかんねーなー」

殿は半分呆れ気味に言う。

「うるせーよ」

詩は笑いながら答える。

「つーかこんなとこいないであっちいこーぜー。

みんな詩いねーと盛り上がらないだとさ」

俺がいるのにな、と殿は付け足して言う。

「あぁわりーな。今行くよ」

詩は殿がもってきた飲み物を手に持ち、すっと立ち上がる。

「おぅ」

殿も返事をし立ち上がる。

「....詩」

と、向かおうとしていた詩を呼び止める殿。

「ん?」

詩が振り向く。

「何かあったら言えよ。俺だって役立つんだからな」

殿はニヤっと笑う。

「わかってる」

詩は照れくさそうに笑いながら言い、殿と一緒に盛り上がる皆の輪に入っていった。







殿はきっと気づいている。

詩の様子がいつもと違うことに。

でも直接何か言ってくることはない。

それは彼なりの気づかいで、友達だからこそのこと。

詩も、殿に話すことはなかった。

巻き込みたくないから......親友を。







詩は、花姫殿の地下のことが気になりながらも、つかの間の休息を楽しむのだった。

その頃、初等部ではもっちもっち粉事件≠ノより、いろいろな意味で大変なことになっていた。

このとき、明日起こりうる事を誰が予測していただろうか_______








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