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□お兄ちゃん
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「仙道ってさ  お兄ちゃんみたいだよね」

「は・・・?」


俺の隣に座る 無邪気な少年はそう言った


「オレさ〜  お兄ちゃんがほしかったんだ」

「おい ちょっとまてよ・・・
 俺はお前の兄貴じゃないけどねぇ」


俺の言葉など構い無しに彼は話し続ける


「でもね  そんな感じするんだ」

「兄貴っぽいっていったら
  郷田がいるだろ」

「認めてるんだね 郷田が兄貴っぽいって」

「なっ・・・」


コイツといると  調子狂う・・・
 そんな俺の気も知らないで 
ヤツはニコニコしてやがる


「でもね 仙道は仙道が思ってる以上お兄ちゃんっぽいよ」

「お前  何か勘違いして無いかい?
俺がお前らに手を貸してやったのは
  暇つぶしなだけで・・・」

「やっぱり  仙道は仙道だねっ」


なにが楽しくて笑ってるのか知らないが
 ずっとニコニコしてて・・・
自分の全てを見透かされたような変な感じだ


「オレ思うんだ  世界を救えたのは仙道の協力があってこそだって!!」

「なにも・・・しちゃいないけどね」

「そんなことないッ!!」


いつにも無く 大きな声でコイツはそう言った
 頬をふくらませてまるで子供だ
ホントに中学生なのかコイツは・・・

「なにをそんなに  怒るんだか」

「仙道は 色々してくれたよ・・・」

まっすぐな目で俺を見つめる
 俺はその瞳がまぶしくて目をそらした

「オレ・・・知ってるよ」

「は?」

「仙道の優しいトコ  すごいトコロ・・・」

「っ・・・」

「仙道はねLBXが大好きなんだ!!
それでいろんな知識持ってる・・・

それを惜しまずオレに教えてくれたじゃないか
 アキハバラキングダムだって
仙道のおかげで勝てたんだよ・・・」


 コイツはまだ話し続ける

「そうやって 自分がしたこと全部0にして
  なにもしてないなんて
普通の人は言えないよ!!!

 仙道はすごく優しいんだ!!」

そういってニコッと俺にむかって微笑んだ
 『だまれ』
コイツ以外のヤツならこう言ってたかもしれない
 でもコイツにそんなこと言えなかった
言いたくなかった


   (初めて 認められたから)

俺はずっと認められたかったんだ
 誰かに

必要だと 言って欲しかったんだ

「だからね  仙道・・・」

大きく息を吸って 俺を見つめた

「ありがとうっ!!」

「こりないねぇ お前は」

「お前なんてやめてよ・・・
バン・・・それがオレの名前だから」


 分かった
こいつはまっすぐなんだ

 純粋で  この世の穢れをしらないんだ
だから いろんなヤツがコイツに・・・

 バンに惹かれるんだ

そして  俺も・・・

「わかったよ  バン」

「うんっ」

「ありがとな」

「仙道 ありがとうって言えるんだ」

「うるさいねぇ」

そしてバンは 俺の手を握ってこう言った


 「大好きだよ  お兄ちゃんっ」

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