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□天馬とシュウ
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 「ある村に 1人の少年がいたんだよ」


 「その村は なんでもサッカーで決めててね」


 「ある日 村は干ばつになって」


 「いけにえを出す事にしたんだ」


反対するものはいなかった
だって それは当たり前のことだったから


 「少年も賛成した」

 
 「そして 二つの家から候補がでた」


 「そのいけいえの候補に・・・」


 「彼の妹が選ばれた」

 
 「いけにえを決めるために
 両家は勝負することになった」


 「彼は 相手にお金をだして
 負けるよう頼んだ」






















『お願いです お金をだします
 どうか・・ 妹を・・・』

『お前 神の怒りを買いたいのか?』

『お願いです! たった1人の家族なんです』

『・・・・・』

『負けてください』

『・・・・』

『お願いします!!』









『何してる?』

『シュウ お前って奴は・・・』

『ごめんなさい でも勝負は』

『もう お前の妹をいけにえにするしか
ないな』

『そんなっ!!』

『シュウの妹を連れて来い
儀式を行う』

『ちょっと 待ってよ』

『シュウ・・』

『僕が代わりになるからっ
殺してくれてもいいから』

『お兄ちゃん・・・』

『妹はっ 妹だけはっ・・・・・』







































「少年は 村から追い出され
妹は いけにえとなった」


「少年は 後悔した

あの時 球を蹴る勇気があれば

 もっと 強かったら

 絶対勝てる 自信があったら」


「でも もう遅かった

 少年は森の奥で一人寂しく

サッカーを憎みながら・・・・」


「死んでいった」



「少年の サッカーへの憎しみが残って

今も この世を彷徨っている・・・」



「サッカーは強くなければ意味が無い

サッカーはそんなに 楽しいものじゃない」


天馬・・・・

  君はこれでもサッカーが好きかい?
  楽しいかい?
  
 サッカーは 彼から大切なものを
うばったんだ


 それでも きみは・・・・

































「ちがうよ」


「こんなの サッカーじゃない」


「サッカーは人を憎まない

人を殺さない

人を呪わない・・・」



「サッカーが ないてるよ」



  サッカーは人を殺すよ
呪うよ

 呪わなかったら

彼はこの世を彷徨っていないもの

 それに サッカーはなかない

泣きたいのは 妹を失った彼だ


「サッカーは 楽しいものなんだ」

「サッカーが楽しい?」

「うん シュウだってそうでしょ?」

「僕はそうは思わない」



「君が あの時代にいれば」


「あの時代に
君のような勇気があれば・・・」


 あの流れ行く時代という『ボール』から

あのときみたいに『羊(いけにえ)』
を 助けられるだろうか


「なんとかなるさ」

「なんとか・・・なる?」

「うん 」

「そっかぁ」

 こんな 臆病で卑怯な少年も
こんな風に 手をさしのべてほしかったのかなぁ


「なんとかなるさ!! シュウ」

「やっぱり 君は面白い」

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