crown
□酒と女と死神
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パタンと静かに扉が閉まる
「……これが、SS級の反逆者…か」
カグラは悲しそうに呟く。ラグナを捕らえるために複数の部下を向かわせたが、15人もの犠牲が伴った
彼女もそれなりに疲れてはいたみたいだが…俺の精鋭があっさりと殺られてしまったのは、正直…誤算だ。其れだけラグナの所有している〈蒼の魔導書〉が危険な代物だと身を持って理解する
初めて彼女を見たとき、一瞬…錯覚してしまうほど男の顔で
犬歯を剥き出しに睨む姿はとても女性とは思えなかった。しかし、ラグナは女性なのだ…。どんなに男ぶってはいても、身体は嘘を吐かない
「あんなに可愛いのに…」
カグラは内心参っていた。男の反逆者でなく、女の反逆者だったなんて俺にとって最大の誤算だ
しかも…ラグナは可愛い。正直な気持ちだ…可愛いと思ったぞ、俺は!
「あ〜…ヤバい、何時もの悪いクセが出そうだ;」
カグラ=ムツキ大佐。
統制機構最高司令官。好きなモンは
酒と女だ!
*
どれくらい時が経っただろう?
暫くしてカグラが部屋に戻ってきた。もちろん手には俺の大好きな天玉うどんが…
『ま…マジで持ってきてくれたのか?』
「おう!女性との約束は絶対に守るからな♪」
テーブルに差し出された天玉うどん。カグラを疑ってる訳じゃないけど…毒とか盛ってないよな?
「心配すんな?俺がちゃんと毒味したから」
『そ…そう、か……』
ほら、安心して食って良いぞ?
『じ…じゃぁ……』
俺は捕まった身だ。なんか…良くしてもらってると申し訳ない気持ちになる。でも断ればもっと嫌気がさしちまうし…
『い…いただきます』
何よりこの空腹感をどうにかしたい!
ラグナは無我夢中で目の前の天玉うどんを啜る
その様子をカグラは嬉しそうに見つめた。案外、素直で優しい奴みたいだ…そう思いながら
「上手そうに食うんだな♪」
『あんがとよ…』
「いや、礼にはおよばないぞ……ぐび」
ぐび…?
天玉を啜っている横から聞こえたのは、喉ごしよく何かを飲み込む音
ふと目をやればカグラが何かを飲んでいた
『何飲んでんだ?』
「あ…ああ、酒だ」
『は?酒…!真っ昼間からか!?』
普通普通www
はははっと大きく笑いながら、更に酒を胃に流し込んでゆく
『あんた上官なんだろ?』
「おう!カグりゃ大しゃだwww…ひっく」
『酔ってんじゃねーかよ!』
すでに酔ってしまっているカグラは、呂律が回っていないようだ
昼間から酒とか…コイツの部下は可哀想だな、いろんな意味で
「俺も天玉食いたい〜」
『はぁ?…イヤだよ、俺の飯だし!』
「食わせてくれないなら……犯すぞ?」
『そうゆう時だけマジ顔すんな#』
「そんな冷たいこと言うなよラグナちゃ〜ん♪」
『馴れ馴れしいッ////ベタベタ引っ付くな!』
あーんと口を開けて「食べさせてv」と、しつこいカグラ。ラグナは仕方なく一口だけ天玉うどんを食わせてやった
「んぐ、もぐ…もぐ」
『おら…食わせてやったぞ?』
「いや〜女見つめながらの飯と酒は格別だぁ♪」
本当にカグラは変な奴だな…。でも、嫌い…じゃないかも
カグラの笑みに思わず自分も笑ってしまう。普段はあまり笑う事なんて無いんだけど…今くらい、良いかも知れない。
「お。可愛いな…今の顔www」
『ンぅ…!?』
チュッと唇に軽いキスを落とされて、一瞬何をされたか分からなかったラグナだが
はっとなり頬が真っ赤に染まる
『何すんだッ////』
「ん〜♪天玉付いてたから食ったwww」
『ぅ…ッ////』
豪快に食ったんだ、そりゃ付いていてもおかしくない
しかし、そんな事よりラグナはキスされたことが恥ずかしくいまだに真っ赤になっていた
『ぃ…いきなり、き…キスっ…すんなよ……』
「良いだろ〜?可愛い子の特権じゃねーか♪」
『俺は可愛くなんか無いッ////』
「すっげぇ可愛い」
『ッ…////』
恥ずかしくてカグラの事をマトモに見れなくて、顔を背ければ後ろから腕を回され身動きがとれなくなる
身体をよじって逃げ出そうとすると、甘い声が囁かれた
「もうちょい休め…」
『ぁ…』
「辛いだろ…?」
『………ぅん』
奴を振り払おうとした腕は、自然と下りてしまった