crown
□酒と女と死神
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※ラグナが姉さんになっています。苦手な方はバックプリーズ!
あー…
ちくしょ。そう言えば俺、統制機構に捕まったんだっけ?しかも捕まえにきたのがカグラ=ムツキ…統制機構最高司令官とは驚いた…
って悠長に寝てられない!起きないと…!!
ラグナは重たい瞼を開いた。すると、視界に映るのは一人の男。しかも目の前まで詰め寄って覗くように俺を見つめていた
あまりの至近距離に思わず目を見開いてしまう
そんな俺の様子に彼は満足げに笑みを零し
「おはよう、お転婆姫さま?」
嬉しそうにそう言った。
酒と女と死神
正直な話し、俺は大罪人の反逆者だから絶対に牢獄かそんな場所にぶち込まれるのが普通と思っていたが…想像してたもんとは全く別物だった。
部屋は清楚で綺麗な上に、俺はキングサイズのベットに寝ていたのだから
『あ……あの』
「ん?なんだ」
『なんで俺は此処にいる?』
「何でって…そりゃ俺が連れてきたからだぞ」
『いや!俺が言いたいのは何で牢獄とかに俺が居なくて、キングサイズのベットで寝てるんだよっ#』
怒りと困惑の表情と声を荒げてラグナが言えば、カグラはクククッと鼻で笑う
「お前が体調不良だってのは俺の部下が調べたから…もう隠さなくてもいいんだぞ?」
『見たのかよ!』
「ああ…安心しろ?ちゃんと女子に見てもらったからな」
カグラに負けてしまったのは実力差も在ったが、もう一つの原因は月物と極度の空腹だ。あれさえなければ、もう少しまともに戦えただろう
そう言えば身体に違和感が…
『ってパジャマかよ!?』
しかも、サラシがねぇッ!?
「良い歳なんだから、下着はキチンとつけるもんだ」
『五月蝿いっ!そんなん関係ないだろ』
「じゃ…俺がつけて欲しい」
『…………は?』
「綺麗なんだから…な?」
俺は夢か何か見てるのか?
コイツはあのカグラ=ムツキなのかと疑ってしまう。今…確かに、俺を綺麗だとかぬかしたよな?
冗談で言ったのか…それとも
「おい…顔が紅いぞ?」
『ッ////』
そろっとカグラの指先が俺の頬を掠める。はっとして反射的に顔を背けてしまう
そんな俺の様子を見てやつは一言。
「男慣れしてないんだな…」
『わ……悪いかよッ////』
異性にそういうことをされた経験がないラグナは、困惑しているようだった。だがそれも彼女の魅力の一つだと思う
恥じらって頬が紅くなる姿はなかなか良いものだ
「まだ安静にしてないとダメだぞ?」
『わ…わかったよ;』
あー…なんかこいつと居ると調子が狂っちまう
苦手っていうか、こんな風に異性に言われた事なんてほとんど無かったからな
とりあえず大人しくしておこう。正直なとこ、刃向かえないのは分かってる…カグラの実力はホンモノだったから
「そうだ!」
『あ?…んだよ』
「ラグナ腹減ってないか?」
『!……へ、減ってねぇよッ////』
口は意地を張るが…
……ぐ〜……
『あ。』
「クククッ…何だよ、腹減ってるじゃないか」
意地を張っても体は素直なものだった。確かに凄く腹が減っている…。
タオと別れて何日歩き回ったか覚えてない。取りあえず水だけで我慢していたが、水じゃ腹が膨れるだけで空腹を誤魔化せなかった
意地張った割にはあっさりと腹が鳴ってしまい、再びラグナは頬を紅くしてしまう
「よし…特別にお前の食べたい物を持ってきてやる」
『え…ケド』
「何が食いたい?」
食いたい物…。
ここは敵の本拠地だというのに、生物の本能はそれを無視するのが自然だ
そう自然にラグナの頭に浮かんだのは…
『…たま……』
「おい…聞こえないぞ?」
『てっ…天玉うどんが食いたいッ////』
あ。
し…しまッ////勢いでつい言葉にしてしまった好物の名前。
当然ながらカグラは驚いて目を丸くしている
「くくくっ…お前は面白いヤツだなwww」
『わ…笑うことないだろ、そんなにッ////』
「分かった…持ってきてやるから、暫く横になっていてくれ」
『ぅわッ////』
カグラがベットに押し付けた瞬間、スプリングが大きく軋んだ。起こしていた上半身が枕に沈み込む
『コノヤロウッ!何しやがるんだ#』って言うつもりで奴を睨んだが…
カグラは真剣な眼差しで静かに忠告してきた
「あん時みたいに、暴れないでくれよ?」
『!』
「じゃ…待っててくれ♪」
真剣かと思えば、急に笑ったりと…。カグラって変わってる奴だな
ニコニコ笑うとカグラは部屋を出て行った
ラグナは大きくため息を付く。疲れた…久々にたくさん喋った気がする
ずっと1人で行動してたからなぁ…。タオの奴…何処行ったんだよ。急に寂しくなる…1人だと不安や恐怖に支配されて冷静な判断が出来なくなるのが、人間のさがなんだろうな
…ジン、サヤ……俺は…
不意に家族の事が頭に浮かび気が緩んでしまった。キリキリと下腹部が痛む
『っ…腹痛ぇ……』
女の体は不便なもんだ。正直、男が羨ましい…この痛みは男にゃ分からないだろう
*