crown
□拾ってください。
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〇月×日天気、雨。
ある日。僕は帰り道…可愛い犬を見つける。
ジン「……。」
捨て犬だ。
広っぱの隅、大きな土管の中でその犬は僕を見つめた。
ラグナ『ぅ…ぅう゛、わぅ…』
首から下げている札には
《拾ってください。名前はラグナと言います》
と、書いてあった。
ジン「野良犬…に、なったのか?」
ラグナ『きゅぅ〜…きゃぅ』
寂しそうに目を伏せた。犬と言っても姿は人。ただ獣の耳と尾があるの…不思議な身体。
フリフリフリ…
可愛い白い尻尾が揺れる
ぴくん
何かを感じ取り、白い耳を澄ませる。
ラグナ『わぅ…わうん』
犬語…普通何を言っているか判るわけも無いのだが…ジンは違った。
ジン「アンタ…大学生か…と、言っているのか?」
ラグナ『きゃう!?』
ジン「何となくだ…」
ラグナとか言う犬は何で解ったんだ!?と驚いて目を丸くしていた。
何故かは判らないが犬の言葉が判るらしい。
ジン「寒くないのか?」
ラグナの身体はずぶ濡れだった。着ている服は水がじっとり染み込み…とても寒そうに見えてくる
ラグナ『わぅ…わうわぅ〜』
ジン「頭が痛くて…寒い…だと?」
間違いなく風邪をひいているらしい。ブルブルと震え土管の中で先程から丸くなっている。
ラグナ『くぅーん…ぅう゛…』
おまけにラグナは、腹が減っちまった…とお腹も空かせてしまっているらしい…
仕方ない…。
ジン「来い…」
ラグナ『うう゛?』
ジン「野垂れ死にたいのか…ラグナ?」
ラグナ『わぅ、わうわうーん!』
死にたくない、助けて!と…
当たり前だろ?
僕は野良犬なんて微塵も興味は無いが…ラグナは別だよ。凄く可愛いv
濡れた身体も、垂れた耳も…全部素敵だもん!
ジン「おいでラグナ?」
差し出した掌を、冷たい手が握り返した
不思議な不思議な子犬の物語
拾ってください。
ラグナを連れて部屋へ帰ったジン。
ずぶ濡れのラグナは余程久しぶりだったのだろう…僕の部屋を見て、目を輝かせている。
ラグナ『わぅ…わうん?』
ジン「そうだよ、僕の家みたいなものなんだ」
不思議そうにラグナは室内をキョロキョロと見回す
ジン「ほら…濡れたままじゃ風邪をひく」
ラグナの手を引きながらバスルームヘ向かう。
濡れた彼の服を一枚一枚脱がし、浴室の扉をあけた
ラグナ『わうぅ?』
ジン「ほら…温かいよ」
湯船からたちのぼる湯気にラグナは警戒するが…
クンクン
無臭であり、何も入ってない事が判ると
ラグナ『わう?』
ジン「いいよ、ただし入ったらすぐ寝ないと…風邪が酷くなっちゃうよ…判った?」
ラグナ『わんっv』
ラグナは嬉しそうだ!
そうだ…身体洗ってあげないと!
よし…!
ザァァァッ!
ラグナ『きゃうぅっ!?』
突然上からお湯が降ってきて、ラグナは不機嫌そうにジンを睨む。
ラグナ『ぐぅぅっ#』
ジン「シャンプーしなきゃダメ、あと身体もしっかり洗わなきゃ…」
シャンプーを掌に乗せ、彼の頭を洗ってやる。慣れていないラグナは困った顔をしながら大人しくしてるようだ…
ラグナ『ぅぅ〜…きゅ』
ジン「じゃ…ついでに尻尾もv」
ラグナ『キャゥッ!』
犬の毛がある耳と、尾が気になりジンは尻尾洗う事にしたのだが…
ジン「あれ、ラグナ…どうしたんだい?」
大人しくしていたラグナが尻尾に触れたとたん、ソワソワし風呂場の床にうずくまってしまったのだ。
ラグナ『きゅぅ〜…;』
耳も垂れ、尻尾がへなっと下がってしまっている
ジン「ラグナどうしたの…頭いたい?」
ラグナ『きゅぅ、きゃうぅぅ…くぅーん』
ジン「えっ?」
《や…ゃめっ////し…尻尾…だ、ダメ…ダメなん、だ…ンv》
もしかしなくても感じてる?犬でも人間と同じように感じてる場所があるんだ…なんて可愛いの!
ジン「可愛いよvvvね、ムズムズするの!?」
ラグナ『きゅぅぅぅっ////』
《ベタベタ触んなぁぁぁっ////》
必死の抵抗も虚しく、ラグナはジンに好き放題されたまま風呂にはいったのだった…
*