切ない恋シリーズ
□カミサマ、この恋を
1ページ/1ページ
「爽来が事故に遭った。」
そう爽来のお兄さんから電話がきた時、俺は全国ツアーの本番直前。
待っているファンが何万人もいるわけで、抜けることはできなかった。
ライブは当然ながら大成功。
ステージにいるときは、不思議なくらい爽来の事故のことは頭に無かった。
心の何処かで軽い事故だろう、と思っていたのかもしれない…
打ち上げを欠席して爽来が搬送された病院に向かった。
ナースさんに部屋番号を聞いて、病室に入った。
ドアを開けた瞬間聞こえてきたのは、爽来の声ではなく、爽来の家族の泣き声だった。
奥に進んでいくと、白いベッドに白いシーツを被った爽来がいた。
しかし近付くと、ある異変に気付いた。
…爽来の顔にかかった白い布。
「うそ…だろ…?」
信じられなかった。
病室に入ったら
「ユチョーン☆」
って笑顔で迎えてくれると思ってたから。
カミサマ、この恋を
(永遠と言いたかった)
(でももう叶わない…)