短いはなし

□そう!光の花です!
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大学のサークルでキャンプに行った時以来の花火に少々浮かれつつ火をつけて
おお、綺麗だあ!なんてはしゃいでいたのだ。すると後ろからガラの悪い兄ちゃん達がやってきた。

やばいな、と思いつつ退散しようと花火を水につっこみ立ち上がれば兄ちゃんの
一人と目が合う。ひきつった笑いを見せながらカニ歩きをする俺を獣の様な眼を
した彼らはすっと素早い立ち回りで囲んで

「テメェ。人の陣地でなにしとんじゃボケ!金払え!死ね!」

等など様々な種類の罵倒をぶつけてくる何にも言えなくて足をガクブルさせる
俺にとうとう兄ちゃん達はしびれを切らしナイフを取り出し冒頭の終末騒ぎに帰ってくる。



刹那!そうそのわずか刹那の瞬間にだ!

苗字名前の救世主であろう
人物が登場する!登場と言うよりは登場と同時に討伐という何とも奇抜なスタイルの
救世主であった。彼は物凄い勢いで兄ちゃん達を蹴散らして雄たけびをあげた。
兄ちゃん達は襲われた兄ちゃんを引きずりながら、走り去ってゆく。
救世主は金髪にバーテンダーと言うこれもまた奇抜なスタイルだったが、
命の恩人であり、それこそお礼をせねばと声を掛ける。

「あ、あの!ありがとうございます!。」
しかし、彼の耳には聞こえていないようでそのまま立ち去ろうとしてしまので、
これはいけないと、駆け寄り彼の手に半ば強引に花火を突っ込んだ。
「なんだよ、テメエ殺されてえのか。」
「いえ!ちが、ちがうんです!助けていただいたので、あの!花火、は、花火、
 しませんか!しましょう!ええ!」


急いで説明すると彼は無言で心底怖いパワフルフェイスを此方に向けて威嚇してくる。
今度こそ終末に来てしまった気がする。
嗚呼、苗字名前よ!こんなことならお礼なんてやめておけば!
「……かまわねえけどよ。線香花火はちゃんとあるんだろうな。」
「え!あ!はい!」



この後、俺は彼を平和島静雄と知って驚くことになったり
そんな彼と良好な友人関係になるのはまた別の話。





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