短いはなし

□友へのフミを書く日
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「なにこれ怖い。」
苗字くんの手紙を見た正臣の第一声がこれだ。

あまりの言い草に町中にいることも忘れて、
「酷い!丁寧でいいじゃない。正臣のちゃらんぽらんよりマシだよ!」
と、僕が声を上げて非難すればいやいやと手を振り
微妙な顔つきになる正臣、一体何が不満なんだろう。
「なにげなく酷い事はスルーしとくけど、明らかにこれ現代の
 人間が書いた文章じゃねえよ。100年くらい前の人だって!」
確かに苗字くんは少し変わってる子だけれど、
そんなに酷いわけじゃないのに。
むしろ文を読む限りすごく賢い事が分からないのかな。
「いやいや!そういう問題じゃないって。てゆうか誰だよ苗字くん。
 小学校の時居たっけ?」
そういえば正臣は苗字くんの事をしらなかったっけ。
それもまあ、そのはずなんだけど。
「苗字くん、中一の時越してきたんだ。神戸からさ。」
坊ちゃまかよ!ガチものだなあ!とかなんとか大声で叫んでる正臣は
もうこのさい無視しておこう。苗字くんがどれ位
すごい人なんだとかは正臣にはまだまだ早かったんだろうから。
会えばきっと苗字くんの事分かってもらえる。
ああ、早く会いたいな。



拝啓遠く離れても一番に考える我が友人へ

君に送る便箋の色を考えながら帰り路つく今日はとても幸せです―




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