短いはなし

□朝の魔法使い
2ページ/2ページ






「今日は、朝小テストあるよねえ。予習したかい。」
「うん。」
若干一方通行な彼との会話の楽しいこと。楽しいこと。
時折彼は魔法使いなのかもしれない、と思ったりするんだ。
朝はずっと好きじゃないカテゴリーに入っていたものだったのに、
それが兄さんや母さんや父さん以外の人でぽい、と
変えてしまえるなんて。そんなのやっぱり魔法じゃないのかなって。
(こういうこというと、兄さんはまた困ったりするかも)



「今回は少し頑張ったからね、期待してるんだよ。」
「そう。」
にこにこと、昨日の頑張りを俺に伝えてくる彼を見ると
俺も少しにこにこしてみたくなったりする。

機嫌が良さそうなのは彼の美点だし、
それはやっぱり俺を変えるための魔法の一部のような気もする。
だとしたら、もっと魔法を使ってほしいな。と思う。
(こういうとなんだかすごく危ない事に聞こえたりもするね)
だってきっと彼は「良い」魔法使いなんだから。

にこにこ。



.
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ