短いはなし

□あ、いつも見てるよ
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「お、おい。」
ゆっくりとこちらに顔を向ける奴、何も考えていないようなぼんやりした顔が見えてイライラする。
俺はこんな奴のせいで昨日一日悩んでいたのか。
そう思うとバカバカしくなってきちんと口が動くようになった。
「ん。えっと、門田?」
すっ、と息を吸い込み言いたいことを吐きだしてやる。
「お前昨日ここで俺に暴言はいただろう。
きちんと面と向かって言ってほしいもんだな。」


言いきった!思わず笑顔が浮かぶ俺とは対照的に
奴は不思議そうな顔で首をかしぐ。もうすでに周りにいた大勢は
すーっとどこかに消えていき残りは一部野次馬がにやにやと俺が奴を殴らないのかと見つめているだけであった。
俺はあのコンビじゃないんだから野次馬は遠慮してもらいたいが、
この馬鹿が注目されるのも悪くはないかと思ってしまうくらいには俺はこいつが嫌だったりする。


「……えっと。なんのことだろう。」
言い逃れる気かとまたイライラし始める俺に奴はゆっくりとまた話し始める。
「ああ、変わってるってやつ?」
勿論だと、大きく頷くと何故か嬉しそうにくんにゃり笑い奴は、
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