長めのはなし
□静雄さんの「飲む」話(1)
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「あ、起きた?」
ぼんやりとした俺の視界に映るのは
見知らぬ天井だった。
少しだけ恥ずかしい話をしよう。
実は俺、酒があまり得意じゃない。
しかも酔うと、しょうもないことに大泣きしちまう。
トムさんや、その他色んな知り合いに驚かれることなんだけども
事実だからどうしようもない事だ。
正直俺もあまり[ぽく]ねえな。と思ったりする。
仮にも一回はバーテンをやろうと試みた身だし、もっと強けりゃなあと思う事も多々あった。
どうにかならないかと、
恥を忍んで新羅に聞きに行ったこともあったが
これは酵素がうんちゃらで欧米人にはあるけど日本人はあんまりとかうんちゃら。
よくわからないがどうにもならんということだった。
そう、やはり。こればかりは事実でどうにも曲げようにない。
ビールをジョッキで二杯ほど飲めば立派な泣き上戸に変化しちまう俺は
あまり知り合いと飲むのが好きじゃなく、
よく一人で何駅か離れた飲み屋まで移動してからぼんやりと飲むのが常だった。
昨日もたしか飲みに行きたくなりトムさんと別れた後
服を着替え、そそくさと電車に乗ったのを覚えている。
だがしかしここからが問題で
悲しいかな、俺は一切その先の事を覚えていないのだ。
初めてじゃあなかったんだが今回問題なのが
誰かの家にいるって事が問題だということ。ここは一体どこなのだろう。