長めのはなし

□静雄さんの「飲む」話(9)完
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ふたりで鍋を囲んでいるとそわそわする。
苗字さんはそうでもねえみたいだが。

「静雄さん、食おう。あったかくて、旨そうだ」

湯気の向こうにいる彼は大好きな酒もないというのに、
顔をほころばせ俺を少し急かした。






あのあとの話をしよう。





振り向いた彼の表情は驚きから安堵へと変わった。
俺に駆け寄る彼に俺はまた、そわそわとする。
いますぐ叫びたかった。
すまなかったと、俺は平和島静雄なんだと、
今までありがとうございましたと。




でも、
叫んだのは俺じゃなかった。







苦しくて息をはけなかったかのように彼は、
とても、
俺が初めて聞くような切羽詰まった声で


「すまなかった!」





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