短いはなし

□そう!光の花です!
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終末とは唐突にやってくるものであってそれを誰がどうこうすれば
回避できるなんて思っていない。いないはずだった。

だけどなんだろうこの状況は。まさしく終末である。週末に終末である。
否!こんなバカバカしいことを言っている場合なのではなく、本当に
俺の人生の終末が確実にやってきていた。

周りを取り囲むのはとりあえずヤバそうな兄ちゃん達。
兄ちゃん達の手にあるのは刃物。
健全で社会の歯車で所謂社畜な気弱で心優しく朗らかな青年である苗字名前に
この状況を打開できるはずもない。

嗚呼!怨むべきは自分かさてはて神か!否、それこそ有給を取らせてくれぬ
会社であろう。そうであろう。



そう遡ること約一時間、ようやっと仕事を終えた俺は明日に控えられている
とてもとても短い夏休みを思い喜びと悲しみの溜息をついた。
心優しく気弱で朗らかな俺は、

「少しでもこの夏を楽しんじゃうゾ★」

と心勇み新宿某所の会社をそそくさと出てゆき家のある池袋のコンビニにて
100円ライターと花火セット、お茶、紙コップを購入したのだった。

それまでは良かった!なんの問題もなかった!
俺の終末はこの長く短い人生という旅路約50年後に控えられていたのだろう。

自ら寿命を縮めるとも知らず俺は呑気に人気の少ない駐車場にのそのそとやってきて
お茶をコップに注ぎ、残りを飲みながら花火を広げていた。





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