頂き物

□酒に酔う
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「んっ…小暮…好きだぞ」

赤城は手にしていた杯の酒を豪快に飲み干した。普段は寡黙で冷静な性格なのに、今はとても機嫌が良いらしい。二人っきりでの宴会。

実を言うと小暮は不安だった。飲んでも酔わない体質故に…赤城の本音を何もかも聞いてしまうからで…。

「あまり飲みすぎるな」
酔っ払いにこう言った所でそう大人しくやめるものではないのは分かりきっている…。

「ああ。ちょっと酔ったふりをしてただけだ…」

不意に赤城が小暮を抱き締めた。唇を重ね、互いの息遣いを感じ、視線を合わせると赤城は笑った。

「良かったか?顔が真っ赤だぞ?」

「っ…」
赤城はそんな小暮を見ながら優しく囁いた。

「俺に任せてろ…お前の苦労や辛さぐらい…何とかしてやるから。黙って俺についてくりゃ良い」

心を許した相手だから出る本当の気持ちは温かくて優しかった。

「赤城…」

「昔からの付き合いだ…。分かってるさ。だから俺の前では…いや、何でもねぇよ」

分かってるから言うだけ野暮だなと実感した赤城は口を閉じた。

「赤城の考えは大体分かる…言わなくても良い」

そっと…赤城の手を握りしめて、幼き頃と同じ笑顔を浮かべ、小暮は満足そうに頷いた。

それから…同じ布団で朝を迎えた。とは言うものの…神社の般若党の拠点は洞窟内だからあまり実感はない

「赤城…昨夜は良かった」

まだ熟睡している赤城を起こさないようにと小暮は静かに起きて、徳利や杯を片付けた。

「無防備な…」
少しくらいは良いかなと小暮は赤城に接吻をした。

その瞬間、小暮は赤城の腕の中に引っ張りこまれていた。どうやら既に起きていたようだ…。

「足りなかったか?」
赤城の体と小暮の体が密着する。

「やめろ…皆が来るまでに早く着替えろ」

腕の中からするりと抜け出して、小暮は着替えをわたした。

「小暮…先日の話だが奴を斬ってこい」

「承知した」

二人の顔からは甘さが消えて…変わりに般若党の主将と副将の顔へと変わった。
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