小説

□暗雲の下で
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自らを法と豪語する大老・鬼怒川怨仙が阿弥浜に来てからというもの、町民の生活は散々なものとなった。
大義名分の名の元に行われる独裁体制、大老の身勝手な解釈による容赦のない罰則や残忍な処刑が、人々を恐怖に陥れた。
大老がこの町に来て、いくらか時が過ぎた今となっては、大老のその冷酷非道な性格は町民のほとんどが知るところとなったが、それに至るまでに、見せしめとして多くの町民の犠牲が払われたことは言うまでもない。
文字通り、大衆に処刑現場を見せつけられた者もいたし、間接的な戒めを受けて命を絶つことを余儀なくされた者や、自身の土地から追い出された者もいた。
そんな人道に外れた大老の体制を、快く思う者などいなかった。
それは町民だけでなく、幕府に仕える者達も決して例に漏れなかったのであるが…。
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