小説

□互いに独り
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※過激な性描写がありますので、苦手な方や18歳未満の方は閲覧をお控え下さい。





時刻は午前0時を回っている。
大量の書類を目の前に、琴吹はため息をついた。

−やはり、今日は茂の誘いを断って正解だったな−

琴吹は今日、茂呂に一緒に飲まないか、と誘われていたのだが、処理しなければならない仕事を多く抱えていた為、それを断ったのである。
茂呂が琴吹を誘うことは珍しかった。
なので、内心琴吹は舞い上がるほど喜んだわけだが、現実はそう上手くはいかなかったのだった。

しかし、日付を超えてしまってはさすがに体力の限界を感じる。
急ぎの仕事はもうすでに片付けてあるから、残りは明日に回そうと決め、琴吹は書類を片付け始めた。

「ふう…」

だいたいの整理を終えると、琴吹は一つ大きな息を吐き、凝り固まった自身の肩を揉みほぐしながら、無意識に茂呂の顔を思い浮かべた。
あいつに会いたい。
会って話が出来れば、こんな疲れなどすぐに吹っ飛んでしまうのに。
だが、この時間では茂呂はさすがに眠っているだろうな、と思った。
しかし、もしかしたら…という思いもあったので、一応茂呂の部屋を訪ねてみることにした。
予想通り寝ていたとしても、起こさないようそのまま静かに立ち去ればいい。
そんなふうに自分を納得させ、琴吹は茂呂の部屋に向かった。
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