世界を担う決闘者〜過去編〜

□2話 古代の疾風龍
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「くー兄ちゃん!」

扉が勢い良く開き、愛羅が入って来た。…………ウィンをすり抜けて。

『…………違和感有りまくり…………です』

『仕方ないだろ………愛羅には見えないんだから』

紅音も紅音で何とも言えない苦笑いを浮かべている。
彼から見ても 何度見ようとシュールな光景なのだ。

「;;;どした?愛羅」

「んー お父さんとお母さんが呼んでたよー」

「……父さんと母さんが?」

「うん!部屋に来てって」

「何だろな……サンキュー 愛羅」

「うんっ!」

頭を撫でてやると、愛羅はニッコリと笑った。









「父さん 母さん 呼んだか?」

「あぁ 来たな紅音」

部屋に居たのはいつも通りの笑みを浮かべた両親だ。
どうやら説教ではないらしい。

「どうしたんだ?また改まって……」

「ちょっと話したい事があるの
まぁ とりあえず座りなさい」

両親の向かいのソファーに腰を下ろすと、両親の表情は真剣なものになった。

「紅音 今からする質問 正直に答えて欲しい。
答え辛いかもしれないが……嘘偽りなく答えてくれ」

「………?あぁ」

この時はよく意味が分からなかった。
だが次の瞬間 その意味を理解する。

「紅音……貴方 精霊が見えるわね?」

「Σ………っ!?」

紅音の表情が 変わった。
眼球がとび出そうな程目を大きく見開き、その身体は小刻みに震えている。

「紅音…………正直に答えてくれるな?」

紫竜は紅音の隣に移動し、息子の肩に手を置いた。

「俺、は…………」

少しずつ、言葉を紡ぐ。
そう 確かに見える。
見えなければ良かったと思った事も 見たくないと思った事も 一度もない。
自分にとって精霊達は 大事な友達……仲間……家族、だから。

だが…………

「見える、から…………普通じゃない」

幼いながらも 分かっていた。
普通の人間には 精霊が見えない。
でも 自分には見える…………

「紅音……そんな事ないわ 貴方は普通の子よ」

「そうだ お前は零夜や愛羅の事も気に掛けてくれる 普通に笑うし怒るし……今は泣きそうな顔してるな
何処にでもいる普通の子だ」

大抵 そんな事だろうと思っていた。
家族にも言えなかった力。普通ではないことを知られたくなかったのだ。


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