捧げ物&頂き物

□最強兄貴と最強彼氏!!
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「やけに静かだな・・・・・この辺ってもっと人いなかったか?」

「Todayは休日だからじゃないか?」

「あぁ・・・・・そういやそっか・・・・・」


多くの会社や企業が建ち並ぶオフィス街。
いつもは多くのサラリーマンやキャリアウーマンが慌ただしく行き交っていたりするものだが、休日である今日はほとんどいない。

自分達の世界にもある所で、休日の人通りが少ないという条件も同じな為、カリアにはすぐ分かった。
流矢はセキュリティの捜査官である為、休日が土日とは限らない。
今日(日曜日)が休日なのも恐らくたまたまだ。


「ところで いい加減に手掛かり無しに行き当たりばったりで捜すのは無謀すぎなんじゃないかしら?」

「確かにな。」

「確かにって・・・・・あっさり認めるんだな流矢。」

「手掛かりがないのは事実だ。
ただここはみーがよく通るから合流してたとしたらここだろうなって思っただけだ。」


手掛かりも無く、カリア達の世界の遊星のこともよく知らない流矢は なかなか帰って来ない妹が通るであろう道を予測して捜す以外に術がない。

カリアやフィーネもそうだ。
遊星ならおそらくガレージに向かうという予測は出来るが、捜すとなると話は別。
異世界に飛ばされてどこにいるかなど分からない。


「フィーネ、You 遊星の居場所が分かる装置とかは持ってないのか?」

「生憎だけど持ってないわ。
今から作るのも出来ないこともないけど 流石に時間はかかるわよ。」

「だろうな・・・・・。」

「(つーか元の世界にはあんのかよ・・・・・。)」


こんな変わった世界に生きる自分が言うのもなんだが、彼等もかなり変わってると思う。
赤き竜の同盟関係であるカリアに、次元を行き来する装置を作れるフィーネ。
この世界にはいない人材に改めて感服する。

そういう自分も実はかなり特殊な存在なのだが・・・・・・・・・・。
まぁ 今は別に言う時でもないだろう。


「流矢兄さん。」


「ん・・・・・?どした?遊。」

「多分未月のだと思う。落ちてた。」

「・・・・・・・・・・あー 間違いねぇな。」


遊星の手に乗っている赤いピンは 普段未月が付けているものによく似ている。
が・・・・・・・・・・


「間違いないって言い切れるのかしら?
そんな感じのピン、意外とどこにでもあるわよ。」

「確かにそうだな。」


フィーネの考えにカリアは同意した。

確かに以前会った時 未月は似たようなピンを2つ付けていた。

だが彼女の言う通り、別に珍しいデザインではない。
寧ろどこにでもあると言えるものだろう。


「三日月のマーク。」

「・・・・・三日月?」


流矢から受けとったピンをカリアはもう一度見る。
ピンの端には確かに三日月のマークが彫られていた。


「未月のクセだ。
自分の小物にはそのマークを描いたり彫ったりする。」

「あら。可愛い癖ね。」

「フィーネ、あいつお前より年上だぞ?」

「分かってるわよ。
とにかく、そのピンが未月お姉様のものってことは確定したわけよね、おじ様?」

「いや、だから・・・・・・・・・・・・・・・はぁ。もういいや・・・・・疲れる。」


相変わらず楽しそうに言ってくるフィーネに 流矢は降参と言うように手を挙げた。

本音を言えば、ちっともよくない。
30代といってもまだ前半。
しかも身体は20歳・・・・・いや、見た目だけで言えばそれより下かもしれない。
それなのに「おじ様」と呼ばれ・・・・・・・・・・それでヘコまないわけがない。

だが、今はそんなこと言ってる場合じゃない。



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