捧げ物&頂き物

□最強兄貴と最強彼氏!!
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「・・・・・で、そっちの世界の[遊星]とはぐれた、と?」

「Yes・・・・・.」


ガレージ。
カリアとフィーネ、流矢と遊星が向かい合う形でソファと椅子に座っていた。

この数分間で流矢と遊星は日常がひっくり返ったような感覚を覚えていた。

以前出会った時、「出来れば今月中にも顔を出す」と言っていた彼ら。
まさか本当にそうなるとは思っていなかった為、宣言通りに来ただけでも十分驚愕ものなのだが、本当の驚きはここからだった。

以前幼女だったフィーネは、本当は17歳だった。
装置を起動させた時、偶然にもその時来てしまった遊星を巻き込んだ。
そしてその遊星とはぐれてしまった。

この世界の遊星に至っては、カリアとフィーネが異世界の住人であり、しかも彼らの世界にも自分がいるという時点で大混乱ものだったが、何とか整理している状態である。


「不動君のことだからこのガレージに向かっていると思うけど。
クロコダイル君は捜しに行くって聞かないのよ。」

「・・・・・まぁ、そうだろうな。」


カリアと遊星は恋人同士。
それを踏まえて考えるとカリアの考えは当然。
だが、行き違いになる可能性も否めない為 フィーネの考えが正論。


「んじゃ、捜しに行くか。」

「・・・・・What?」


流矢が出した結論に、カリアは思わず我が耳を疑った。

自分にとってはありがたい。
今だって本当はすぐにでもガレージを飛び出して捜しに行きたいくらいなのだから。

だが、フィーネの言い分が正論だとも分かっている。
だからこそ流矢にも引き止められると思ったのだ。


「あら意外。
流矢おじ様なら私と同じように引き止めると思ったのに。」

「おじ様はやめろ!!・・・・・・・・・・ふぅ。ま、確かにはぐれたのがカリアかフィーネだったらそれが一番良策だろうな。
考えるまでもなくそうしてる。」


楽しそうな笑みで挑戦的な言葉を投げかけるフィーネに げんなりとした様子で返す流矢。

自分と同年代の容姿をしているにも関わらず、実は30年以上生きている流矢はフィーネにおじ様と呼ばれてしまう。
そのことにカリアは心底同情した。

だが、そんな中でも彼の言葉の本質を見抜くことは忘れていなかった。


「つまり、はぐれたのが遊星だからこそ都合が悪いってことか?」


「そーいうこと。
この世界の現状も分からねぇまま行動して遊に間違われでもしたら大変だからな。」


D-ホイールからデュエルディスクを取り外し、腕に付けながら淡々と言う。

この世界の遊星に間違われたら大変だということは この世界の遊星に何かあるということなのだろうか。


「詳しいことは捜しながら話す。
とりあえず今はこの世界の事情ってことにしといてくれ。」

「あら、随分と曖昧な言い方ね。」

「・・・・・そうとでも言わないとキリがない。
俺達の場合は事情が多すぎるんだ。」


今まで黙っていた遊星が口を開いた。

だが、どうにも様子がおかしい。

カリアにもフィーネにも目線を合わせようとしないのだ。

以前のように警戒しているという感じではなく、どこか申し訳なさそうな感じだ。

そして、言うことだけ言ってしまうと 彼は外に出ようとしていた兄の方に走って行ってしまった。


「どうやらこの世界、私達の世界とは全く別な事が起こっているようね。」

「それは俺も考えてたさ。
この世界の事情・・・・・最初はシグナーに関することかと思ってたけど、どうも違うな。」


フィーネもカリアも同じ事を考えていた。
シティとサテライトが繋がっている、シグナーの存在、建ち並ぶ店やそこで働く人々。

この世界には自分達の世界と同じ現状が多々ある。

それと同時に違う所も普通にある。
例えば未月と流矢の存在、遊星の性格。

世界によって共通点と矛盾点が存在するのは別におかしなことではない。むしろそれが普通だ。

だが、何か納得がいかない。


「流矢にはある程度話したから曖昧にするreasonがない。
となると・・・・・」

「もっと別の何かね。
まぁ 彼等の秘密をほじくり返す権利なんて私達にはないでしょうけど。」

「ごもっともだな。」


この世界のことも気になるが、今は遊星を捜す方が先決だろう。

互いにそう考え、二人は流矢と遊星の後を追った。
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