今日俺
□しゃぼんの夢※
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三橋は優しくて優しくて。
でもそんなんじゃお前、欲求不満になんない?
しゃぼんの夢
……なんて、最近の俺の頭ん中そんなんばっか。……つまり、エロいことばっか。………三橋、と。
三橋。
顔が一気に熱くなる。
やばいって、今、授業中なのに。きっと真っ赤。ああもう、やだ。
前に座る三橋の、陽光に乱反射する金髪をじっと見る。きらきら、きらきら、光って。
そういえば、あの時もそうだったなって思い出す。必死ですがった。屋上で。俺ってば、ミニスカートなんて、あんな恥ずかしい格好で。
三橋、三橋。
何度も何度も名前を呼んで、回数なんかわかんないくらい何度もイって、気持ちよすぎて。
好きって言ったら、好きって言われた。恋してるったら、俺もって。
……三橋、三橋。
大好き。
くるりと。
三橋が振り返った。
えっ、ナニ?なんで今こっち向くの。ちょっと待って、俺。今、顔やばい。
焦って口をぱくぱくしてたら、きょとんとしてた三橋が俺につられたみたいに赤面した。
どっ、どーしたミツハシ。
何秒間かみつめあって、三橋が前に向き直る。うしろからでもわかる、真っ赤な首もと。
間違いなく俺も同じ状態。
そう。あれから俺たち、ちょっと変わった。
ふたりきりになって、そういう雰囲気になることもしばしば。
俺の部屋で、三橋ん家で、指定席の屋上で。
それは好きあってるんだから多分当然のこと。俺は三橋のことさわりたいし(ほら、今だって)さわられたい。
ふれあうと、気持ちいいし満たされる。
……だから、もっともっと、ってなる。…のは俺だけ、なんだろうか。三橋は、なんないのかな。
「三橋、今日ひま?」
ひとりで考えてても仕様がないから、三橋と話してみようと思った。
「……家、来ない?」
「……アッ、あ、ぁ…ミツハシ、三橋ぃ」
あれ?変だな。話をしようと思っていたのに、いつの間にかこんな状況に。
まあいいのか?これは体に訊くという状況?ていうか訊かれてる?あれ、ていうか俺なに訊こうと思ってたんだっ…
「…っあ、ゃあ、あっ、アッアァ…っ、」
三橋の長い指が後ろから入ってきて、俺の弱いところを攻める。三橋が、メシ食ったり、ジュース飲んだり、人殴ったりする手。
その手が俺を気持ちよくさせる。それにすごく興奮する。
普段でもその手が目に入る度、この行為を思い出してどうしようもなくなってしまう。
欲情してる自分を周りに感づかれないように必死こいてる。
出入を繰り返す指。最近はローションなんか使ってみたりしてる。
その、蓋を開ける時の指の動きとか。何を考えているんだろう、三橋の妙に真面目な顔つきとか。
そういうものにまで目を奪われ感情がたかぶる。
三橋、もっともっと、俺を求めて。
俺、三橋と一緒にいきたいよ。
―――あぁそうだ、思い出した。
「…みつ、はしィ…っ」
とぎれとぎれになる息をふりしぼって、俺の体に口づけている三橋に声をかける。
「…なに…?」
「んんっ…」
笑いを含んだ声がぴちゃりと音を立てて、耳の中に舌と一緒に入りこんでくる。
「…ぁ、ミツハシ…っ、お前、」
「あー?」
なにか伝えたいことがあるのを感じとったのか、耳元から口を離してのぞきこんでくる。
上気した顔と、最近よく見せる優しげな表情が俺の心臓を鷲掴む。
「…っお前、いれないの?……おれ、ミツハシにも、きもちよくなって欲しい…」
「…イトー…」
「いっしょに…きもちよくなりたい」
「…………」
「………」
「………」
…なにを、考えてるんだろう。三橋の、俺のこと見てる様で見ていない様な視線を受けて、困ってしまう。
俺なんか、変な事言ったかな?
「みつ…――わわっ」
それまでの向かい合って座る体勢から一変、押し倒されて、ベッドに押し付けられた。
「――この馬鹿っ!バカっパ!」
と同時に馬鹿と言われてびっくりする。
そして見る間に赤見を増す三橋の顔にさらにびっくりした。
エエー、なになになに。
「…このっ、俺がっ、いきなり突っ込んだら痛ぇだろーなーって、我慢して、ならしてる時に!なんつーこと言うんだ、このバカっ!」
真っ赤に顔を染めて、ちょっと涙目で、一生懸命でいっぱいいっぱいで、はじめてみる三橋。
俺の事、すごく大事に想ってくれてる。
三橋には悪いけど、ちょっと信じられない様な。でも、すごく嬉しい。
三橋が、可愛くて、愛しい。
ふわふわした気分になって、どこへでもいけちゃいそう。
「みつはし、ありがと。」
縁取りを赤くした目が俺をみる。
その目は欲情の色をかなり濃くしていて、つらそうに寄せた眉根が三橋が本気で我慢してる事を伝えてくる。
その表情に、吸いこまれそうになる。なんでもいい、三橋のしたいこと、どんなことでもいいからして欲しいと思う。
俺にふれて。
俺で感じて。
俺を三橋でいっぱいにして。
でも今は、三橋の優しさを大事にしてあげたいと思った。
手を着いて上半身を起こす。
そのまま、何事かと戸惑う三橋の下半身に顔を伏せる。
「――っイト…っ!」
チンコくわえるのなんて初めてだけど、まぁ、同じ男だし、手で扱いたりしてるから、どうすればいいかは判る。多分。
優しく、握って、上下に動かす。
一緒に、這わせた舌も。できるだけ、三橋が感じるように。
下の方から裏をたどって、先端をくわえこむ。
吸いつくと滲みでる、精液のぬるつきを借りて唇をすべらせた。
次第に固さと大きさを増していくそれが、唾液と共に口端から漏れていく。がんばって全部含もうとするけど、ムズかしい。
困って三橋を見たら、目が合った。
「……お前、俺のコト煽んのうますぎ……」
のぼせたような顔をした三橋が色っぽく笑う。今日ははじめてみる三橋尽くしだなとぼんやり思う。
「ごめん、口、使う」
そう言って俺の頬に両手を添えながら膝立ちになる三橋のチンコに俺も高さを合わせる。ゆっくりと動き始めたそれに出来るだけ手と舌を使って密着させる。
でも、律動が速くなるにつれて追い付かなくなる。手は三橋の腰の辺りに回して、せめて口から外れないように、歯を立てないように気を付けて射精を待った。
「……いとー、…いとーっ…!」
三橋のせつなげな声が聞こえる。そろそろかと察して出来るだけチンコを口の中に含もうと顔を押し付けた。
「……ッ…、――ッ!」
喉奥に精液がはじける。
三橋のだから受け止めたいと思っていたんだけど、あまり好ましい感触ではなかったのでむせてしまいそうになる。
二、三度ゆるゆると腰を動かしてから、口からチンコを抜き取った三橋が、俺に目線を合わせて口許を押さえる手に手を添える。
「無理すんな、出しちまえ」
ティッシュをわしわしと掴み出して、口許に差し出してくる。ためらっていたら口端から指を突っ込まれた。
「〜〜〜っ、みふ…っ、みつはしっ、後いいよ、だいじょ…んむっ」
指の次は舌が入りこんできた。口中を舐め回すみたいに動き回る三橋の舌に酸欠っぽくなってる頭がくらくらする。
満足したか、最後に唇とその周りをひと舐めし、三橋はしかめっ面になった。
「んな不味いもん飲まなくていーんだからな」
自分の味にべーと舌を出す。
「だって三橋だし。俺は欲しいと思ったし。」
即答したらさっきみたいに真っ赤になって、がりがりと金髪頭をかきむしる。
その子供みたいなしぐさが可愛くて笑って見てたら、面白くないのか口を尖らせた三橋にこれまたさっきみたいにベッドに押し倒された。
「今度は俺がやってやる。俺だってお前が欲しいんだからな!」
喧嘩口調で、でも迫力のない真っ赤な顔で。
ああ、なんて愛おしい。
大好き。
次の日から、三橋の手だけでなく口までちゃんとみれなくなってしまったのはここだけの話。
おしまい