青祓
□紙飛行機
1ページ/7ページ
「雪男。」
「父さん!!仕事は?」
「これから行く。ほら着替え。」
「ありがとう。」
僕は小さい頃からこの病院にいる
病気は一向によくならないし、病気のせいで外にも出られない
僕の世界はこの病院でしかなかった
「あら?雪男くんのお父さん、これを忘れていってるわ…。」
「雪男くんしか知らないのにどうしましょう……。」
看護師さんたちが父さんの忘れ物で騒いでた
「僕が届けてきましょうか?」
「えっ?」
「今日は体調もいいですし、外に出たい気分なんです。」
「んーっ……。先生に聞いてくるわね。」
看護師さんが先生に聞きにいくと1時間だけならいいらしい
「気をつけてね?」
「わかってますよ。では行ってきます。」
父さんの仕事は囚人の監視員で危険だ
できればしてほしくないけど、父さんが僕のために働いてくれているから文句はいえない
母さんは僕が生まれてすぐ亡くなったそうだ
「これ、父さんに渡しといてもらえますか?」
「いいですよ。」
受付にいたしえみさんって人に父さんの忘れ物を渡した
それから調子のいい日は毎日行くようになった
.