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□幸せの鳥
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今、私の目の前はキラキラと光っている。



私の目には常にフィルターがかかっているのは知ってるけど、今はむしろそれがありがたい、
可愛い物が更に可愛らしくなっているのだ。

ここ、サオトメイトにあるグッズが発売されると聞いて、急いで買いに走ってきて正解だった!(文字通り、ちゃんと走ったよ!)

『ピヨちゃん!おまたせ!』

そう、私が手に持っているのはつぶらな瞳が印象的なひよこ、ピヨちゃん
この子が発売されると聞いてお小遣いあるだけ持って買いに来たのだ。
人形はやはり少しお値段が張るが、ここで買わなければ、女が廃る!と意気込んでレジに向かう。
が、重たい!(大きさが私の身長の半分あるのだ)

『うう、ピヨちゃん重たいよ、でもこれも愛の試練だと思えば大丈夫!』

等と独り言を言いながらレジまで持っていく、

「いらっしゃいませ〜、プレゼント用ですか?」
『あっ!違います!持ち帰りでおねがいします!』
「畏まりました、お値段は…」

確かにこの年でこんな大きな人形を買う人はいないだろうな、なんて他人事のようにおもいながお札を差し出す。

「ありがとうございました〜」

店員さんの声をBGMにし、店を出る、
袋に入りきらなかったので仕方なく私がだっこしながら寮まで持って歩く。
やはり、重い。
ピヨちゃんの為だと、自分を叱咤激励し一歩踏み出す。

「ああ!」
「ちょっ!那月!?」
「ピヨちゃ〜〜ん!」
『うわぁ』

一瞬何が起きたのか分からず、そのまましりもちをついたまま固まってしまった、
だって、誰か(顔が見えないのだ)が急に抱きついてきたんだもの、誰だって固まるよ!

「ピヨちゃんが一人で歩いてました!」
『その声、もしかして四宮くん?どうしたの?』
「あっ!○○さん!どうしてここに?」

声で判断して聞くと、向こうもビックリしたみたいで質問を質問で返してきた。

とりあえず、腕を解いてもらい自由になる。
そして二人で首を傾げていると、

「那月、急にどうしたの?」
「四宮さん、足、早いん…ですね…!」
「ごめんなさい、ピヨちゃんが一人で歩いていたので、つい……あっ!でもピヨちゃんが一人で歩いていたのではなく、○○さんが抱えて歩いてただけでした!」
『なんかごめんなさい、私、なんか迷惑かけたみたいで、』
「そんなことないですよ!」

後ろから来た一十木君や七海さんらが来て四宮くんに話しかけてる(七海さんなんか息が切れてる、かわいそう)
一応、私が迷惑をかけてしまったみたいで、慌てて謝ると四宮くんはいつも通りの笑顔を見せて否定してくれる。
いい人だ!

「むしろ、今のは那月の方が悪いわよ!」
「大丈夫?えーと○○?」
『う、うん、大丈夫。ありがとうございます』

渋谷さんが呆れたように四宮くんを見て、大丈夫?と私に呼びかけてくれる。
一十木くんも私の手を掴み、立ち上がらせてくれる、
二人にお礼を言って起きあがり、手にもっていたピヨちゃんがどこか汚れてないか確認する。

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