zerodream

□夜霧家の双子
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階段を上がり、広い部屋をさまよって行き着いた先はあの映像の押入れの部屋。

押入れは開かれていた。
私は近寄って押入れを覗いてみた。


「••••••••」


押入れの中の白い布団には夥しい血の跡が残っていた。
その布団の中には日記がおいてあった。

私は手にとって読んだ。
その日記には血の跡が残っている。


『村人が私の事を捜してる。
怖いよ。早く帰ってきて。

蒼海が帰ってこない。
ずっと待ってるのに。

ごめんね、蒼海。
私、とても耐えられないよ。
ごめんね。ごめんね。

私の事はいいから紗重と樹月と逃げて。』


歌海は暗い押入れの中で泣いていた。
ごめんね、と何度も繰り返しながら。


「ずっと一緒にいたかったけど」


歌海は自ら鋏を首もとに突きつけた。


「私が捕まってしまったら蒼海たちは逃げられなくなるもの
だから、私が••••••ごめんね」


鋏を首もとに刺した。
赤い血が目の前を迸る。
涙を流しながら倒れる歌海。


「•••••••ご、めん••ね•••睦月•••」


映像はそこで途切れた。


『ーーー•••』

「!」



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