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□夜霧家の双子
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澪達と別れてから私たちは夜霧家の屋敷に向かった。
樹月の言ったとおり、暮羽神社ま前にその屋敷はひっそりと建っていた。


「結構、大きいみたいだね」

「うん」


朔夜は玄関の扉に手をかけた。
ガラッと音がして、扉が開いた。


「••••••」


玄関から家にはいると家の中はまるで荒らしたようになっていた。


「荒らされてる」

「きっと、蒼海を捜すために村人達がここに来たんだ」

「••••••」


広間の真ん中にポツリ、と紅い蝶のついた日記と蒼い蝶のついた日記が落ちていた。


「日記?」


私は手にとり読んだ。


『村の人たちが騒いでる。
私は怖くなって木に陰に隠れてた。
蒼海が私を見つけてくれた。

私の手をひくと蒼海は自分たちの家に連れて行った。
私を押入れの中に隠すとと紗重を探してくる、と蒼海は出て行ってしまった。

紗重が捕まってしまったみたい。』


『樹月を助けにいこうとしたができなかった。
村人に紗重は捕まってしまった。
八重は無事に逃げ延びたのか。

次の双子巫女は僕らの番だ。
そうなる前に逃げなければ。

歌海を家の押入れに隠した。
どうか、見つからないで。
紗重と樹月を助けたらすぐに戻ってくるから。』


頭のなかに流れる映像。
手を取って走り出す蒼海。


「紗重がどうしたの?」

「紗重が捕まってしまった」


家の中にはいると蒼海は歌海を二階の押入れに入れた。


「蒼海、どこにいくの?」

「僕は紗重と樹月を連れてくる
だから、ここで待ってて」


蒼海の手をつかんで離さない歌海。


「いやっ、ここにいて!」

「大丈夫だよ 、歌海」


涙を流す歌海の頭を優しくなでながら蒼海は微笑む。


「•••ずっと一緒にいてくれるって言ったじゃない!
私をひとりにしないで•••っ」

「すぐに帰ってくるから
静かにここで待ってるんだ、いいね」


蒼海は歌海に布団を被せると屋敷から出て行った。


「•••••歌海は二階の押入れにいるよ」

「二階の•••押入れに?
••••••聖音、危ない!! 」

「きゃっ」



朔夜が私の体を突き飛ばした。
その瞬間に天井が崩れ落ちてきた。
急いで立ち上がると目の前には瓦礫の山。
そこには朔夜の姿はなかった。


「朔夜!」

「聖音、大丈夫?
そっちに行くのは駄目みたいだ
どこかで落ち合おう」


朔夜がそう言った瞬間。
不安が胸をこみあげてきた。
私は咄嗟に口走った。


「朔夜、私達•••ずっと一緒だよね?」

「聖音?どうしたの? 」

「私を置いていったりしないよね?
ひとりで逃げたりしないよね?」


私はその場に座り込む。


「何を言ってるのさ、聖音
僕たちはずっと一緒だし、ひとりで逃げたりしないよ」

「そうだよね、そう•••だよね」

「聖音?」

「ううん、なんでもない!
じゃ、私道探すね」

「うん、気をつけてね」


私は立ち上がると後ろを振り向いた。
そこには二階へ続く階段が伸びていた。



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