zerodream
□蝶になれなかった少年
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梯子を登ると荷物置場のような場所へ出た。
「澪、居ないね?」
「いったいどこに行ったんだろ?」
朔夜は梯子を覗き込み、私は荷物置場の扉を開けた。
―…チリン
「……………!」
目の前の廊下を紅いと歌海が歩いていた。
『…睦月…何処にいるの…?』
「………む…つき…?」
歌海は涙で濡れた顔を上げる。
『…みんな…どこにいったの…?
……一緒に探しましょう…』
歌海は青白く細い手を私に差し出した。
「――…の?」
私は無意識のうちに歌海の差し出された手をとった。
後ろからも朔夜の声が聞こえたけど答えなかった。
「――…聖音?……聖音!?」
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