zerodream

□薊と茜
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さらに奥に進むと同じ家具が2つずつ並んだ部屋にでた。
ここは多分あの双子の女の子たちの部屋だ。
何もないことを確認し部屋を出ようとすると背中に気配を感じた。


「……………」

「……………」

「聖音ちゃん?朔夜くん?」


朔夜も背中に気配を感じたらしく顔が青ざめていた。
澪は何もわからずに私たちを不思議そうに見ていた。
私と朔夜が恐る恐る振り向くと女の子たちが座っていた。


「!!」

「!」


女の子たちはすぐに姿を消した。
右に座っていた子のところに日記が落ちていた。


「…またこの日記?」

「さっきみたいな日記はごめんだよ」


『わたしの手が、薊の首をしめた。

やわらかかった。あたたかかった。
ゆっくりうごいてた。

でも、わたしの力だけだと薊は苦しいみたいだった。
最期には、宮司さまが手伝って下さろうとしたけど、薊は、わたしだけにしてほしいと言った。

わたしは薊とひとつになった。

けど、やっぱり薊はいなくなったんだ。

もう、お話もできない。

おとうさまが、薊をつれ戻してきつくれた。

わたしは、いっぱいあやまった。

薊もわたしを許してくれた。

もう、ころしたりしないから。

もう、だれにもころさせたりしないから。

おとうさまは、薊を「むくろ」だといって殺そうとしている。

薊をころそうとしている。

そんなことさせない。

もう、あんなことはさせない。』


「儀式で妹を殺したのね
…じゃあ、あの女の子の片割れは人形なの?」

「薊は人形…
そういうことになるよね」


その部屋を出て暗い廊下へ出た。


「……あ」


澪は小さく悲鳴をあげた。


「どうしたの?」

「ううん…あっちに女の子が…」

「女の子?」


澪が指差したところにはあの女の子が立っていた。


「じゃあ…反対側に…!?」


反対側に行こうとするとやはりこちらにも女の子が立っていた。


「…なんだよ…」

「…うごいた…!」


両側にいた女の子たちがいきなり動き出し私たちに襲いかかって来た。


「………きゃっ!?」

『…ドウシテコロスノ…』

「……うわっ!?」

『…コロサナイデ…』


澪は急いでシャッターをきると女の子たちは悲鳴をあげて消えていった。


「…………」

「いきなり……」

「これで大丈夫なはずよ
…奥に行ってみよう」


廊下の奥へ進むと何やら人形が沢山ある部屋についた。
部屋には女の子たちの人形も飾られていて片方の人形は手や首が無かった。
中心部には手記が落ちていてそれを読み上げた。


『茜が深道へと通ずるカラクリを壊し、人形の一部を持ち去ってしまった。

対になる双子の人形を元に戻さねばならん。

躯となった薊は×へと落とし、その魂を黄泉に戻さねば。

あの道は×にも通じている。』


「どうりで…
こっちの人形の部品が無いと思った」

「でも…この人形のカラクリを解かないと立花家には行けないんだよね?」

「…あ!」


澪は首の無い方の人形を撮影すると写真を見せた。


「ここ…さっきの仏壇のところじゃない?」

「本当だ…行ってみよう」


私たちは仏壇の部屋へ向かった。



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