zerodream

□大償
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大広間前の扉の前で私達は手をつないだ。


「せーの、で走るわよ」

「いいよ…せーの、だね」


私は扉に手をかけると朔夜を見て合図を送る。


「「せーの!!」」


扉を思いっきり開けると部屋からただならぬ怨念が漂ってきた。
2人で部屋に入ると思いっきり走り向こうの部屋へ行った。
後ろからはさっきの霊が追いかけてきていたが部屋の扉を急いで閉めた。


「…ふぅ…」

「やっぱり消えてないね
帰りもこの道通るのか……」

「仕方ないよ
またこうやって走れば問題ない」


歩きながら先程の写真に移された場所を探すと目の前を走りながら逃げる霊が現れた。


『楔だー!』

「……………」

「失礼しちゃうね」


そう言いながら歩くのを再開するとまた別の霊が現れた。


「…聖音…待って…」

「…………」


目の前を歩く霊は何やら引き摺りながら歩いていた。
廊下の奥まで行くと霊は消え去った。
廊下の奥の壁は血で濡れており部屋に入るとまた夥しい血で畳が汚れていた。


「…ひどい…」

「全部血なんだろうね…」


朔夜が写真に移された場所を写すといきなり扉が一人でに閉まった。


「な…何?」

「聖音!!」


朔夜に名前を呼ばれ前を見ると体を切り刻まれた男女の霊が襲い掛かってきた。
私は腰を抜かして動けなくなってしまい、 朔夜透かさずシャッターをきると霊は悲鳴をあげて消えた。


「大丈夫、聖音?」

「うん…大丈夫だよ
あれ、何か落ちてる…」


霊がいた場所に落ちていた物を拾い見てみると血のついた札鍵と薄く光る鉱石だった。


「それは鉱石だね
聞いてみようか?」

「うん」


朔夜の取り出した霊石ラジオに鉱石をはめスイッチをいれた。


『…楔が…楔が来る…
…助けてくれ……祭りは…失敗…
…紗重様が…これが…オオツグナ……この村はもう…』

「"大償"ってなんなの?
それに紗重って……」

「紗重…ってあの白髪が言ってなかった?
紗重を連れて逃げろって…」


そういえば…
そんなこと言っていた気がする。


「まぁ…まずは八重だったっけ
八重を探すしかないね」

「そうだね…よし!
さっきの部屋に戻ろっ」

「………う」


私は嫌がる朔夜を引っ張って先程扉が開かなかった部屋へ向かった。



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