zerodream

□閉じ込められた少年
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「聖音、こっちに扉があるよ」

「え…本当だ」


蔵の裏には小さな扉があり私は思い切って扉の中に入る。
少し歩くといきなり声が聞こえた。


「歌海!蒼海!
どうしてまだここにいるんだ
君達は逃げたんじゃなかったのか…」


蔵の壁には小さな小窓がついていてそこから白髪の男の子が顔を出していた。


「え…あなたは…?」

「僕達じゃない……」


私達を歌海と蒼海って…。


「早く逃げないと祭りが始まる
…始まらないうちに君達も逃げるんだ
さっき八重もここへきた
皆で早く逃げるんだ…」

「八重って…ここに人が来たの?
その人は何処に行ったの?」

「八重は紗重を追いかけて
君達と八重達の家に行ったよ
……急ぐんだ」


白髪の男の子はいい終えると顔を俯かせてしまった。


「…………行こう」


朔夜は私の手をひき、出ようとすると男の子の声が聞こえた。


「もし…この村から出られないときは…また来てくれれば…
何か力になれるかもしれない
急ぐんだよ、2人とも」

「…うん」


朔夜は小さく頷くと蔵の裏から出た。



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