zerodream

□霊石ラジオ
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ラジオからザザッというノイズと共に美也子らしき人物の声も聞こえた。


『…あの人は…どこ…
…ますみさん…あいたかった…
…ずっとさがしてた…』


プツン、とラジオが止まり辺りは静かになった。


「…美也子は可哀相だね
死んでも尚、真澄を思ってさ」

「…ここから出よ、朔夜
一刻も早くここから出なきゃ」

「…うん」


私たちはその場を後にし、最後に美也子が殺された場所に向かった。


「縁側になにか落ちてるよ」

「うん、本当だね」


私は縁側に落ちていた紙を広い読み上げた。


「…村の調査記録
立ち並ぶ地蔵の中になぜか一つだけ双子の描かれた地蔵が置かれていた
屋敷に残されていた文献の中に"双子地蔵"に関する記述が…」

「双子地蔵…?」

「まだある…
朽ち果てた井戸を覗き込んで見たが中は真っ暗で何も見えない
耳を澄ましても風の音が聞こえるだけですでに水は枯れてしまっているようだ
この屋敷と井戸の…まだあるよ
長い階段を上ると立ち籠めるもやの中に小さな神社を見つけた
かなり古いもののようだが造り自体はしっかりしているようで目立った損傷は見られない
入り口には大きな蝶の……
この村に初めて入ってきた時に見かけた鳥居をもう一度調べてみるためにこの高台までやってきた
しかし何度調べても……
大事なところでどれも終わってるよ」

「これってさ
きっと真澄の記録したものだよね
…この記録の続きはどこに行ったんだ?」


朔夜は辺りを探すがそれらしき物は見つからなかった。


「…ないね
行こうか、聖音」

「そうだね…出よう」


そして私たちはその家を出た。



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