zerodream

□射影機
1ページ/3ページ



『射影機とは、目に見えない霊的な存在をとらえるために、
麻生博士により作られた写真機である。


一、残留思念などにより過去の出来事。

一、見えない霊魂的存在。

などを写し出すことができる。

この射影機は、それら“ありえないもの”を写し撮ることで、
除霊にも似た効果を得ることができる。
しかし、それは同時に彼らとの関わりをもつということでもある。

不用意に使用すれば、彼らに取り込まれることすらあるだろう。

この射影機で、村で行われている“秘祭”と、
その信仰の中心となる場所を撮影できれば何か写りこむのか。

麻生博士ならずとも、興味をひかれる。 真壁 清次郎』


「射影機…ね」

「なんか…
嫌なモノ見つけちゃったね…」


射影機を手にとると突然頭の中に映像が流れた。


「聖音?」


ガタッ


扉から音がして私は我に返る。


ガタッガタッ


扉の向こうから足音も聞こえた。


「………」


朔夜は射影機を手に取ると扉に近寄った。
私は扉を開けた。


ガラッ


「きゃっ!?」


扉が勝手に閉まる。


「大丈夫?聖音」

「うん…」


さっき扉を開けた瞬間…女の人と目が合った。


「何…これ…?」


朔夜は射影機から目を離した。
私も射影機をのぞみた。


「女の人が…扉を押さえてる…」


パシャッ


朔夜が射影機で扉を撮影した。


『真澄…さん…』


悲しげな声が聞こえたと同時に扉の前の気配が消えた。


「…出よう」

「うん…」


朔夜は射影機を見つめて前を向いた。



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ