Novel

□君を困らせてしまうから、
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いけない事だってことは分かっている




分かっているからこそ辛いんだよ




生徒に対して恋心を抱いてしまうなんて




こんなの、先生として間違ってる




「冷血、」




食ってくれ
この恋心を




『…いいのか?』

「ああ、構わない。だから」




早く食ってくれ




僕がおかしくなってしまう前に




この想いが溢れだして
彼を困らせてしまう前に





冷血が言われるがままに感情を祖爵する





ーこれでもう大丈夫






「せんせー、次美術だからさぼらしてー」




ガラッと扉が開いて藤君が保健室に入ってきた




僕はいつものように笑いかける




「いらっしゃい、藤君」




ほら、大丈夫だ




君を見ても 何も感じない




先程まで感じていた胸の苦しみも感じない




これでよかったんだ




だって 僕は先生で
彼は生徒なのだから




『あれ…?』




なんで僕は泣いているんだろう
恋心はさっき冷血が食ったはずなのに




ちらと藤君を見てみる




途端に沸き上がる胸の苦しみ
速まる鼓動



ああ そうか



この想いは消せないのか



「先生?なに泣いてんだよ」



心配してくれているのか、僕の目をのぞき込んでくる藤君



「ううん、何でもないよ。ちょっと目にゴミが入っただけ」













僕はやっぱり、君が好きみたい。





end.

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