Novel

□君の色、僕の色。
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※死ネタ注意!!












君はまるで画家のように、僕の世界に色をつけた



灰色だった世界が嘘みたいに輝いて
そのまぶしさに思わず目が眩んだ



そういえば、君は一体何色だったんだろうね


僕が思うに、暖色系かな



だって君は冷めているように見えて、その実、不器用ながらも暖かかったじゃないか




二度と動かない、二度と笑わない彼の頬にそっと手を添える



触れた頬は
冷たく 固く





君はここにいるけど、ここにはいない




遺体の周りに添えられたたくさんの白い百合の花が
照明の光を反射して嫌に眩しかった



「藤君」




君には白なんて似合わない




「君に似合うのは、向日葵の色」





暖かい、黄色




君の髪と同じ
君の笑顔と同じ
暖かくて、優しい色




視界が揺らいだ
いつの間にか頬を伝っていた涙


止めどなく溢れてくるそれは無色透明




まるで 君を失った僕みたいだ


ああ そうか



「君が、僕の色そのものだったみたい」



失ってから気づいても、もう遅い






「藤君」








また会う時は、きっと来世で




別れる時は、きっと笑顔で







また、きっと







静かに眠る藤君の胸に小さな向日葵を添えて

銀灰色の髪を揺らして



僕は葬儀場を後にした









end.

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